イベントが多く、立教の一年の中で最も忙しい2学期。まだまだ先だと思っていたアウティングの日もあっという間にやってきました。勉強もしたいし、オープンデイの準備も忙しい…でもそんな日々の中でアウティングは、学校から離れて、息抜きをするいい機会。
高校2年生は今回オックスフォードへ行きました。立教からコーチで約2時間。こじんまりした大学都市に到着です。観光に一日あれば十分といわれるくらい小さな町ですが、その中には39のカレッジ(専攻ごとに分かれた寮と校舎の建物)があり、それぞれにホールや図書館が併設されているので、町全体が大学の中にあるといっても過言ではありません。それぞれのカレッジがそれぞれのエンブレムを持っており、ガイドさんによれば、オックスフォード大学の学生は、「University of Oxford」と書かれたトレーナーはけっして着ないとのこと。なぜなら、「オックスフォード大学の学生である」というアイデンティティよりも、「どこのカレッジに属しているか」というアイデンティティを強く持っているからだそうです。英国の大学は9月末から新学年が始まるため、町の中は新学期特有ののびのびとした雰囲気に包まれていました。
さて、オックスフォード観光はクライスト・チャーチからスタートです。今回高校2年生が選んだツアーは「アリスとハリー・ポッターをめぐるツアー」、「サイエンス・ツアー」、そして、「オックスフォードの歴史とステンドグラスツアー」の3つです。オックスフォード市公認のガイドさんが1時間半たっぷりとオックスフォードの歴史などについて、ゆかりの地をめぐりながら説明をしてくれます。
誰でも聞いたことがあるような有名な人の名前が出てきたり、建物の中に実際に入ったりすることで、授業では得ることができない「本物に触れる」体験に感動した生徒も多かった様子。女子生徒6人が参加した「ステンドグラスツアー」では、普段は通らないような裏道をゆっくり歩きながら一つ一つのカレッジにゆかりがある人物についてのストーリーを聞きました。それはまるで映画の中でその人の人生を一緒に歩んでいるような気持になります。すべての歴史は「人の人生」なんだなとしみじみと感じました。オックスフォードで最も古いといわれるステンドグラスを最後に見て、それが約1000年間、この町に大切に守られてきたのだという事実に、参加した生徒たちは思い思いの気持ちでゆっくりとそのステンドグラスをながめていました。
班ごとに昼食をとった後は独自の「ウォーキングラリー」。あらかじめ示されたヒントをもとに、街を歩いて4人の先生がいるポイントにたどり着くという企画です。今回のポイントは、「アインシュタインが相対性理論の講義で実際に使用した黒板を探してみよう」、「2009年にできたばかりのガーゴイルはどこにいるか探してみよう」、「17世紀にモーリシャスで絶滅した’ある鳥’の剥製を探してみよう」、そして、3つのポイントでそれぞれキーワードを教えてもらってから探す、最後のポイント「不思議の国のアリスにゆかりの小さな扉を探してみよう」の4つです。1学期のロンドンの時よりも町の規模が小さいため、4つのポイントすべてにたどり着いた班もたくさんありました。
しかし、町の中心から少し外れた「ある鳥の剥製」ポイントには少々苦労した様子。「先生!見つけるのが大変だったよ!」と不満げな生徒も多かったのですが、その鳥、「ドードー鳥」の剥製がある大学付属の自然史博物館には、珍しい動植物の剥製の展示がずらり。ガラスと鉄で作られた天井の高い建物に入った途端、「こんなにおもしろいところがあったなんて!もっと早く来たかった!」と言ってくれる生徒もたくさんいました。ドードー鳥は「不思議の国のアリス」の物語にも登場します。乱獲が原因で(敵がいなかったために飛べなくなり、人間に捕まりやすかった)17世紀には絶滅してしまい、いまや「伝説の鳥」ですが、その愛らしい姿から、現在でもオックスフォードのいたるところでシンボルとして描かれています。
ウォークラリーを終えた班から待ちに待った自由行動の時間。買い物をしたり、高い塔に上って街を眺めてみたり、普段は食べることができないハンバーガーを思いっきり食べたり…それぞれ楽しい時間を過ごした様子でした。
帰りのコーチの中では、気が付いたらみんな眠ってしまっていました。充実した一日を過ごせた証拠です。普段、立教生は決められた予定に沿って規則正しく過ごしています。アウティングは、そんな学校生活の中に、学期に一度だけあるからこそ、思いっきり楽しもう!と思えるイベントなのです。明日からまた忙しい日々が始まります。高校2年生の皆が大人になってまた訪れた時、きっとオックスフォードは変わらない姿で皆を迎えてくれることでしょう。みなさん、今日はお疲れ様でした!