社会科フィールドワーク(Shalford Mill)

社会科フィールドワーク(Shalford Mill) 社会科フィールドワーク(Shalford Mill) 社会科フィールドワーク(Shalford Mill)
 先日、中学1、2年生は社会科のフィールドワークでシャルフォード・ミル(Shalford Mill)に行ってきました。シャルフォード・ミルは学校近くのシャルフォード村にある18世紀に出来た粉挽き所であり、かつては付近一帯の小麦を挽いていたほど栄えていた所です。粉挽きの機械のしくみを観察して当時の機械技術を学ぶ。そんなことを目的に私たちはミルへ向かいました。
 車に乗って約20分、お花が咲きほころぶ初夏のシャルフォード村に到着。景色を楽しみつつ5分ほど歩くと、古いお家に着きました。少し珍しい形の瓦がついていて、一見可愛らしい家ですが、なんとここが粉挽き所。確かに普通の家と違って建物の下に小川が流れています。
 ”Hello!”イギリス人の優しそうなボランティアのガイドさん2人が私たちを出迎えてくれました。私たちは学年ごとに分かれて粉挽き所の見学をすることになりました。まず初めにガイドの方が建物の作りや立地について説明してくれました。ミルが水車の力を利用して作動するために小川の上に建っていること。出荷しやすいように屋根裏に、外に続くドアがあること。気になる瓦の話もしてくれました。
「この瓦は面白いことに建物全体ではなく、片方の側面にしかありません。どうしてだと思う?」なぜだろう…考え込む生徒たち。答えは意外と単純でした。それは「建物を作った人が自分の屋敷から見える側面だけ高級瓦をつけたから」。それくらい高級な瓦だったようです。生徒達はしっかりその高級瓦の写真も収めました。建物内に入る前に、機械のしくみを理解するために手動の粉挽きも体験しました。重い石でできた粉挽きはなかなかの力が必要です。もともと手動の粉挽きは女性の仕事だったようですが、女子生徒たちは重さに苦労していました。なかなかの力が必要だったことが分かります。
 それから私たちは建物の中に入って行きました。外観は普通の家でしたが、中に入ると大違い。まず目についたのが水車。この水車が回り、3階まで続く粉挽き機全体が動き、手で挽いた小麦の何倍もの小麦を一気に機械が挽いていくのです。
「歯車が動く向きは?」「原料の木はどこから来ている?」
学校で用意されたワークシートの質問に答えを記入しながら、生徒達はガイドさんのお話に耳を傾けます。どのように脱穀したのか、どうやって粉を分けたのか。どんな人が働き、どこに出荷されたのか。そしてどうしてこの建物が保存されるに至ったのか。ガイドさんがゆっくり、丁寧に説明してくれました。英語の解説は確かに難しいですが、質問しながら通訳を交えながらみんなガイドさんの話に耳を傾けました。
 1階、2階、3階と登って最後に屋根裏部屋に到着しました。そこは薄暗くて狭い所でした。ここでは小麦が保存されていたとのこと。昔、この場所で小麦の出荷のために12歳程の少年が一日中働いていたそうです。当時の作業服のスモッグも展示されていました。服が機械に絡まって大けがに繋がる悲惨な事故もあったようです。今の自分たちとは全くちがう一日を送っていたことがわかります。一日中、この建物の中でどんなことを考えながら働いていたのでしょう。
 学校に帰ってきてからはシャルフォード・ミルについてまとめた新聞の製作を行いました。今回は粉挽き所の機械のしくみを学ぶことが出来ただけでなく、当時の人々の働きぶりや暮らしぶりも学ぶことが出来て、充実したフィールドワークとなりました。