3週間の抱卵後、雉のヒナがやっと孵りました。孵化した翌日、新しい世界への巣立ちが始まりました。草原の中の巣と違い、職員室の入口横の花壇の中に作られた巣は、キツネ、アナグマ、イタチ等の外敵からは安全だったものの、まず乗り越えなければならないのは、花壇から1.5メートル下の階段への大ジャンプです。流石に母鳥はその危険を察知し、何と落下地点で自分をクッションにして待っています。決心がつかずに鳴き声をあげるヒナ、下から懸命に呼ぶ母鳥、何とも微笑ましい光景でした。
母鳥の背中に上手く着地できたもの、失敗したもの、数えてみると何と17羽ものヒナが孵りました。全員が大ジャンプには成功したものの、これで終わりではありません。落下地点で母鳥の温かい羽の中で30分ほど休憩した後、次の挑戦は、5段の階段を下りることです。一段一段母鳥の声に励まされて階段を下りていきますが、なかなか降りられないヒナに生徒達から「頑張れ!」の声援が掛かります。2段降りた所でまたもや母鳥の羽の中で休憩。ここで大異変です。何とここで力尽きたのか、次々にヒナ達が倒れていきます。「頑張れ!」の声を掛けていた生徒達もこの光景に声もでません。5羽のヒナがぐったりと倒れ力尽きてしまいました。母鳥とともに12羽のヒナ達が森の中に帰っていきました。自然の持つすばらしさと残酷さを同時に感じた土曜日の朝のドラマ、12羽の無事な成長を願わずにはいられません。