球技大会:いつかこんな先輩になりたい

球技大会:いつかこんな先輩になりたい
「皆、空を見ろ!」
キャプテンの声がした。皆いっせいに空を見上げた。ひきづられていた綱引きの綱がグンッと自分達の方へ引き寄せられる。
「あ。転びそう。」
あまりの勢いの強さに体勢をくずし、後ろに倒れそうになった。「ピーッ」と笛の音がする。自分のチームから大きな歓声が聞こえてきた。あわてて崩れて倒れそうになっていた体勢を立て直し、チームの人達と勝利を喜びあった。
 自分の選んだ球技種目は、ポートボール。初めてのポートボールで緊張していた私を勇気づけてくれた先輩、全員を笑顔にしてくれるチームのキャプテン。試合前にキャプテンからの一言。
「皆、今日は性格悪くいこう。」
この一言に全員が笑ってしまった。緊張をほぐすためなのか、それとも真剣に言っているのか。円陣を組み、いざ試合となった。
 パスがどんどん回り、シュート。そしてまたボールがとびかいまたシュート。
「桜子ちゃんパス」
飛んできたボールをキャッチし、そしてまた先輩にパス。そしてシュート。午前、午後とあっという間に試合が終わり、勝つことが出来た。試合前のキャプテンの一言が全員に伝わったのか、とても嬉しかった。そしてそれと同時に終わってしまったことがとても悲しかった。
 まだ終わってほしくないという気持ちの方が強かった。学年バラバラでこんなに毎日楽しく練習して。まだこの先輩達と一緒にこれをやりたい。そう思わせてくれた先輩達がすごくかっこよく思えた。いつかこんな先輩になりたい。私はこの球技大会を通して強く思った。そして私はこんな機会を与えてくれるこの学校が大好きだ。
(中学部3年生 女子)