挑戦

挑戦
起きたのは午前6時45分。ぼうっとする意識の中、鏡の前に立って初めて今日が何の日かを悟る。負けられない戦いが今日ある。幾度も挑んだ闘いに今日ついに終止符が打てるかもしれない。そう思いながら朝の仕度を始めた。
この闘いに挑むようになったのはいつからだろう。そうだ。中3からだ。僕は挑戦状を出す度にその高すぎる壁を越えることができず挫折した。でも今回は違う。それなりの準備もしてきた。何より自信もついていた。何度も挑戦してきたのだ。そこらの人とは違う。確かに少し不安はあった。だが、僕の挑む心意気によってそんなものはもう頭の隅に追いやられている。それくらい本気でもあった。
戦場とも言える場所に着く。
「また来たよ、こいつ。」
そんな風にそこの空気や物が僕に笑っている気がした。今からまたこの闘いに挑むということを思うと、少し気分が重くなった。やはり無理。不安。負ける。そんな言葉が僕を襲う。そこで2人の仲間が目に入った。僕と同じように何度も挑んできた仲間。大丈夫、大丈夫。彼らも同じ。そう思えるようになった。
僕の番がきた。僕は挑戦状とパスポートのコピーを出す。そして放った言葉。
「準一級です。」
(高等部3年生 男子)