ふと、思う。

ふと、思う。
夏。28度、いや、それ以上かも分からない。とにかく暑い。イギリスなのに。そんな愚痴を吐く。朝からしていた勉強も集中が切れてしまった。一休みと団扇片手に空を眺めた。ふと気付く。そういえばイギリスで過ごす夏はこれが最後なのだと。あぁ、もう4年目になっていたのか。
特に立教の3年間は早かった。高校1年の頃先輩の赤ネクタイがひどく遠いものに見えたのに。高校2年の頃、来年から自分たちが最高学年と騒いでいたのに。2学期で終わるのか、早いもんだ。次は大学か。唾を飲む。一気に不安になる。私はやりたいことを実現できるのか。しっかり大学でもやっていけるだろうか。そもそも大学にちゃんといけるのだろうか。次々と浮かぶ。なんだか暗い気持ちになってきてしまった。机に目を戻す。すると目に入ったのは、3学期に撮った高校2年の時のみんなの写真だった。青ネクタイを締めて、笑っていた。あ。そうだ。私、皆で笑って卒業したい。皆一人一人辛い事は個人個人であるけれど、助け合って、乗り越えて。良い思い出だねって笑い合いたい。強く、強くそう思った。
不安は完全には消えない。けれどもう大丈夫。そう思える。さぁ、勉強をしよう。先生が言っていた。本気で勉強するのってもう高校3年生しかないよと。私だってやらなくちゃ。机へ戻る。涼しい風が吹いてきた。頑張れって言ってくれているような、そんな気がした。
(高等部3年生 女子)