『晩禱』

『晩禱』
チャペルに入ると、壁一面に色鮮やかなステンドグラスが広がっていた。
高い天井に沢山の柱や像、今まで見たことのある教会とは桁違いのスケールだ。
今回のアウティングの行き先はケンブリッジだった。
ガイドツアーや買い物など色々楽しみはあったが、特に印象に残ったのはチャペルでの晩禱だ。
キングズカレッジ内のチャペルは、17世紀の内乱中に、兵士たちの野営所とされていたそうだ。
けれど、このチャペルはそれを感じさせないほど綺麗で厳かな雰囲気を放っていた。
無数のろうそくの前で聖歌を歌うのはケンブリッジ、キングズカレッジ聖歌隊だ。
長い歴史と伝統を持ち、立教のクワイヤーにあたる。
クリスマスイヴのキャロルが英国全土に放送されるほど有名だそうで、どの曲もクオリティーの高さに驚かされるばかりだった。
小さい頃からステンドグラスが好きで何十分も離れなかった私は、礼拝中も時々顔を上げては見とれていた。
夕方の光が差し込んできらきら光るガラスは、高校生になった今でもずっと見ていたいと思った。
礼拝は毎日受けているものなので行く前は特別に感じなかったが、この晩禱ではいつもと違う空気を感じることが出来た。
同じ礼拝でも場所が変わると雰囲気も変わる。
今回の事に限らず、同じ事ばかりだと思わずにこれからも色々な場所に出掛けてみたい。
(高等部1年生 女子)