7月18日、ケンブリッジ大学でのサイエンス・ワークショップ初日は、Welcome and Orientationで始まりました。まだ生徒は緊張した面持ちでしたが、昼食をきっかけに少しずつ打ち解けていくのがわかりました。夕食後には日本の生徒たちが主催で、日本語講座や学校紹介、書道体験を行いました。英語で話すことに緊張しましたが、準備の甲斐あってとても盛り上がって終わりました。
翌日から各グループに分かれての専門的なプロジェクトがスタート。活動場所はそれぞれ異なり、遠くのラボまで暑い中歩いていくグループ、タクシーで移動するグループなどさまざま。立教生はそれぞれ、航空機エンジンのブレードデザイン、放射線、ナノ粒子(金を見つける)の3つのプロジェクトに参加しました。講義はもちろん英語、作業は最新の実験装置を使うなど、終始全力で集中しなければなりません。夕方には「先生、大変です。予想以上に難しいです。グループに立教生がいないのも辛いです。」なんて弱音も聞きました。大変なのはどの生徒も一緒、弱音を吐いている場合ではありません。「自分で希望してこの場にいるのだからがんばりなさい。」と叱咤激励。
落ち込んでいても、夜の交流の時間にはあっという間に笑顔になりました。それもそのはず、ダンスにゲーム、プレゼント交換で盛り上がらないわけがありません。プロジェクトに取り組むときとは全く別の表情で和気あいあいと楽しい時間を過ごしました。
プロジェクト三日目、今日どれだけ作業できるかが成果を左右する重要な日です。どのプロジェクトも朝から気合が入っています。イギリスの夏は比較的涼しいのですが、今日の日差しは強く、東京と同じくらい暑い日でした。夕方からは運動着になって公園に出かけ、言語の壁を超えて皆笑顔でスポーツを楽しみました。
プロジェクト四日目、次第に終わりが近づいてきます。午前中はケンブリッジ大学の学生のプレゼンテーションを聞きました。明日の自分たちの発表の参考に、さらには自分の将来の参考になるように、皆、熱心に聞いていました。午後はケンブリッジの市内観光。予約していたパンティングもケンブリッジならではの体験です。楽しい時間はあっという間に過ぎて、夜にはいよいよ最終プレゼンテーションの準備の時間となりました。どのグループも予定どおりに作業が進まず、焦っています。夜中まで作業を続けるグループもありました。
そんな中迎えた発表当日は、天気にも恵まれ、明るい雰囲気と思いきや、皆、硬く険しい表情です。本番前のリハーサルではワークショップのオーガナイザーであるグレース先生のチェックが入ります。「ふらふらしない!はっきりしゃべる!画面を見ない!棒読みをしない!」次々に厳しい言葉が飛びます。立教生の一人はあまりの緊張で顔面蒼白。これが本番前のプレッシャーであり、完成度が高いものを求められるときに味わう苦労です。何度も入念に確認をして、迎えた本番ではどの生徒も堂々と発表を終えることができました。「発表後の質問にも自信を持って答えられました!」と弱音を吐いていた生徒も安心と達成感の笑顔で一杯でした。
ワークショップを締めくくるケンブリッジ最後の夜は、Clare Collegeのホールにて晩餐会です。日本の生徒たちはそのハリー・ポッターのような厳かな雰囲気に大興奮。長いテーブル、コース料理、歴史ある格調高いホール、すべてが初めての経験です。がんばった後のご馳走はより一層おいしかったのではないでしょうか。翌朝4時半出発にも関わらず、晩餐会は夜遅くまで続きました。
7月23日早朝、4時半に出発する日本の生徒たちの見送りに、英国の生徒たちも早起きをしてくれました。この一週間で国籍を問わず、たくさんの友人ができました。涙のお別れをして、ヒースロー空港に向かいます。立教生は空港で皆とお別れ。このワークショップを通して、立教生が寮生活に慣れていること、また人とのコミュニケーションに長けていること、思いやりがあることなど、良い面がたくさん見られました。もちろん英語や科学の勉強など課題もありますが、このワークショップが人としての成長の機会になったことが何よりです。今後の彼らの一層の成長に期待しています。