毎週日曜日、立教英国学院では主日礼拝の後に必ず全校清掃を行っています。もちろん全員で行います。
その方法はとても独特です。まず、美化委員が清掃道具など一通りの準備をし、整うと鐘が鳴ります。鐘の音を聞いてぞろぞろと中庭に集まってくる生徒達。全員がそろったところで美化委員が清掃場所を指示します。各クラスの教室を綺麗にすることはもちろんですが、それ以外にも移動教室はたくさんあります。それらの教室は上級生が順番に分担して清掃しています。今学期は高校3年生がいない分、高校1年生、2年生が手分けして清掃しなければなりません。分担を決める美化委員長も一苦労。あまり分担が厳しくなると他の生徒から文句を言われます。
この日の全校清掃は高校2年生が外出中のため、分担はさらに大変なものになりました。
「高校1年生は、男子が17番、19番、20番、22番教室と26番教室。女子はホームルーム教室と25番教室です」
教室を5個も担当するのはおそらく1年間でこの日だけでしょう。委員長の発表に対し、
「高1めっちゃ厳しいぞー!」
「女子に甘すぎだろー!」
とさっそく男子達から不満の声が出ます。しかしそれは明らかに本気のものではなく、冗談のトーンでした。後で見回ると、彼らはそれぞれの持ち場を一所懸命きれいにしていました。分担はもちろん順番なので、清掃が楽なときも厳しいときもあるのは皆分かっていることですが、それ以上に「いつも綺麗にしてもらっているから、今回は自分が綺麗にしてやろう」という気持ちが見えてくる様でした。
小さな学校なので、「誰かがやるだろう」と他人任せにすると絶対に綺麗にはなりません。実際、1学期のころはサボる生徒も多く、見つける度に皆で清掃することの大切さを指導してきました。しかしこの日の全校清掃では、「誰かにやらせるのではなく、自分が皆のためにやる」という意識が生徒達の間に根付いているのを感じました。この意識はきっと学校生活の多くの場面で活かされることでしょう。
さて美化委員ですが、清掃中も大忙しです。各クラスのゴミを集めてゴミ捨て場に運ぶ、ビニール袋やふきんを取り替える、各教室の清掃状況をチェックし、指導する。綺麗になったのを確認して委員長に報告に行く。ひっきりなしに走り回っているのが見えます。各教室の清掃が完了すると、ホワイトボードに書いたクラス名を消して行きます。全部が終わるまでが約20分です。最後のクラス名を消した後は、いつの頃から始まったのか、美化委員全員が集まって一本締めです。
こんな不思議な日曜の午前中が、1週間の学校生活を気持ち良いものにしています。