2月5日、快晴の空の下、私はロンドンウィンターランを走り抜きました。私は今までマラソン大会に出場したことはありませんでしたし、10キロなんて走ったことも無かったので最初希望者が募られた時は出場するか否か迷いました。ですがロンドンを走るという、イギリスにいないとなかなか出来ない貴重な経験を逃すわけにはいかない、初めてのことでも何事も積極的に挑戦したい、という気持ちで思い切って参加希望用紙を提出しました。遊びや観光とは違って軽い気持ちで参加するものでは無いので参加すると決めた以上、自分の意思に責任を持ってしっかりと努力しようと思い、冬休みも日本で近所のジムを契約して毎日走る練習をしていました。最初の方は3キロくらいですぐに疲れてしまっていましたが、日々練習を重ねていくにつれて長い距離を走れるようになってゆき、自信もついていきました。学校でも練習を重ね、ついに2月5日本番を迎えました。
陸上トラックと道路ではで走る感覚が全然違うのでちゃんと走れるのか、傾斜は大丈夫か、五時半起床できるかなどと色々と心配で、前日は緊張と不安でなかなか眠れずそわそわしていました。
ですが、実際レースが始まると、とても楽しんで走ることが出来ました。道路の脇には合唱団や演奏家がいて、歌を歌ってくれていたり太鼓やトランペットなどで演奏してくれていたりと、音楽を楽しみながら次々と変わりゆくロンドンの町並みを見ながら爽快に走るのはとても気持ちよかったです。平坦な道ばかりではなく、坂道が予想以上にあり体力的にしんどいと思うこともありました。
しかし、校長先生が礼拝で仰っていた「チャリティーマラソンは自分の為に走るのでは無く、誰かの為に走る」という言葉のお陰で、精神的なしんどさはありませんでした。私が何より走る原動力になったのは、周りにいる人々がいたからです。
癌のチャリティーマラソンということもあり、前を走っていた女性のTシャツにはFor Mother♡と書いてありました。30〜40代くらいの豊満な女性で、走るスピードはゆっくりでしたが、母のためにと一生懸命前へと進む姿に胸が熱くなりました。
また他にも、道の脇からランナーを応援していたある家族の中の5歳くらいの小さな女の子がメッセージを書いたポスターを掲げていて、私は走っていて一瞬のことでしたがそこには明らかにSave、mother、cancerという単語が見受けられました。その女の子の後ろにはお父さんと、祖父母らしき人も一緒にいて、極寒の中一生懸命ランナーを応援してくれている姿に走りながらも思わず涙が出そうになりました。
走ってチャリティーをする側の私達が逆に励まされたような気がします。
マラソンのランナー同士、またはランナーと応援者、知らない人同士ではあるし、関わりはすれ違うほんの一瞬でしかないけれど、その目が合う一瞬で心で通じ合う事ができて、お互いに応援しあうような関係性に心が温まりました。
自分がチャリティーマラソンを走ることでその参加費用が癌で困っている人に寄付され、少しでも誰かの役に立つことが出来ているということが走っていて肌で感じられ、それが何よりも嬉しかったです。
今回のチャリティーマラソンを通して、他のチャリティー活動にも興味を持ったのでこれから個人的にも参加していこうと思います。
また、最初は10キロも走れなかったけれど、結果的には自分の中で早いタイムで完走できたので、努力したらその分結果が付いてくるという自信も持つことが出来ました。この自信を他の色んなことにも繋げてこれからも色んなことに自らチャレンジし、自分のため、人のため、頑張っていこうと思います。
高等部2年女子