高校生になった私は1年ずっと憧れていた軽音部に入った。転校によりボーカルだけあいていて、私は歌うことが大好きなのでやるしかなかったのだが、人前に立つことにどうしても抵抗があった。すると春休みに突然バンドメンバーからの連絡があってボーカルやってほしいと言われた。誘われたことが嬉しくて勢いでOKしてしまったのだが、歌ってみると高音が綺麗に出ないなどとたくさん苦戦した。途中ではやっぱりやめるということも考えるくらい心配だった。でも数え切れないほどの練習を重ね、憧れていたハット練習もたくさん頑張り本番を迎えた。しかもまさかのトラックの最後の方。段々と出番が迫る中、緊張も大きくなっていく。ステージの上に立つと大勢の人が目の前でこっちを注目していた。しかも初の夜ライブなので人はいつもより多いはず。マイクを持った瞬間なぜかすべてやり投げになってしまい、緊張もほとんどなくなった。目の前のみんなは応援することしかしない、盛り上がってくれるはずと思いながら歌い始める。今までの練習の姿が蘇ってきて歌詞を間違えないように、そして笑顔も意識して歌い続ける。「自分がスターだって勘違いしたほうがいいよ」という先生に言われた言葉が脳裏に響く。そうなんだ、今一番輝いているのは自分なんだ、今はみんなに私たちの素晴らしいパフォーマンスを届けるときなんだと思いながら最後のボーカルだけの歌詞を歌い終わった。決まった!暗くなった瞬間私たちの名前や拍手が響き渡る。終わると、泣いているバンドメンバーがいた。失敗したといっていたのだが、正直気づかなかったし私も声が出なかった部分があった。でも個人的には楽しめたから本当に大成功なのだ。失敗があっても楽しむことが一番だと思っている。軽音ってこんなに楽しかったんだと気づき、これからも迫力のあるかっこいいライブを届けていきたい。
(高等部1年女子)