「こんな家に住めたら、何人でも友達呼べるのに!!」
「毎日泊まりに来て!って言っちゃう!」
こんな会話が繰り広げられたのは、なんと学問の都ケンブリッジのトリニティ・カレッジの中央広場でした。
高校一年生の2学期アウティングは、例年通り、ケンブリッジでした。毎年2年生になると行く場所ですので、1年生は先輩から、昼食の場所や、買い物ポイントなど、事前の情報収集をしていたようです。
ケンブリッジまでバスに揺られること2時間半、ケンブリッジの語源であるケム川の近くにバスを止め、フィッツウィリアム美術館でフェルメール展を見学、その後はグループごとにランチタイムです。
お昼のあとは、このアウティングのメインイベントである、ガイドさんによるツアー。
クラスを二つに分け、それぞれガイドさんがトリニティ・カレッジ、キングス・カレッジ、そして説明されなければうっかり見落としてしまう小さなポイントを丁寧に、ゆっくりと説明してくれました。
トリニティ・カレッジは、ニュートンがいたことで有名です。「木から落ちるリンゴ」の木の末裔が門の横にあり、その前で記念撮影。このカレッジを建てたヘンリー8世の像が門の上にあり、体重が100キロを超えていたという説明を聞いて生徒が一言ぼそり。
「あの像だと100キロはないなぁ、スマートに作らせたのかな?」
門をくぐり、広場を囲むカレッジの建物を見た生徒の口から出たのが、冒頭の会話でした。
トリニティ・カレッジの礼拝堂では、ニュートンのつま先に触れて、「頭がよくなりますよーに!」と記念写真を撮りました。
次に向かったのがキングス・カレッジです。こちらは、ヘンリー6世によって創設され、壮麗さで右に出るものがないよう徹底させて作らせたといわれる礼拝堂が有名です。礼拝堂に入るや否や、生徒たちは天井やステンドグラスに目を奪われるあまり、感想が口から出てこないようでした。礼拝堂の椅子に座り、ガイドさんの説明を聞く姿は、おそらく今日一日で最も集中していました。
「礼拝堂の壁に残る落書きはいつ、誰が書いたものだと思う?」
「なぜ、ここのステンドグラスは破壊されなかったのだと思う?」
ガイドさんからの質問の答を理解するために、真剣に英語を聞き取ろうとしていました。
この後は、ガイドさんとともにケンブリッジの街の中へと繰り出しました。
あるパブの前では、そこに住み着く幽霊のために、ずっと窓を開けているという話を聞き目を丸くしました。
さらに、いたるところにある道端の鉄柵の理由を、ガイドさんから「なぜだと思う?」と聞かれ、みんなで考え抜いた結果、一人が「泥棒だ!」と見事正解を導き出しました。夜道に突然泥棒が現れるのを防止するための鉄柵、ということです。
言われないと目にも留めない小さな発見や、驚きにとても楽しめたガイドツアーでした。
ガイドツアーの後は、キングス・カレッジの晩祷に参加するグループや、買い物へ繰り出すグループ、街の散策をしながら夕飯を食べる場所を探すグループ、などそれぞれに過ごしました。
日が落ちるのがすっかり早くなったイギリス、集合時間にはもう真っ暗でした。
一日中歩き、英語を聞いて疲れた高校一年生でしたが、帰りのバスの中でも歌をうたいながら、さすがと言わざるを得ない元気っぷりで、最後までこの日を楽しんだようでした。