小さな親切
今道友信氏の「温かいスープ」を読んだ。その中で、僕は今道氏の、「国際性とは、相手の立場を思いやる優しさ、お互いが人類の仲間であるという自覚なのである」という言葉に共感しました。なぜなら、僕も英人の親切に何度も助けられたことがあるからです。
前回の冬休み、僕は電車とバスを使い一人で、今住んでいるスウィンドンからロンドンに行きました。人生で初めてのイギリスの電車とバスだったので分からないことだらけでした。
まず、バス停でバスを待っていたのですが、なかなかバスが現れません。五分ぐらい予定時刻が過ぎて、やっとバスが来たら、今度はバス停を通りすぎて行ってしまいました。バス停には僕のほかにもう一人中年のおじさんがいましたが、その人はそのバスとは違うバスが目当てだったようで、新聞を読みながら座っていました。
なぜバスが行ってしまったのか分からないまましかたなく次のバスを待ってうろうろとしていると、そのおじさんが立ち上がり、僕に向かって話しかけてきました。どうやら何かを教えてくれているようでしたが、英語が分からない僕には何を言っているのかさっぱり分かりませんでした。おじさんはそのことに気付いたのか、ゆっくりと手や動作などを使って、「バスはタクシーみたいに、手を上げて止めるんだよ」と教えてくれました。そのおかげで無事にロンドンにたどり着きました。
もし日本人だったら(少なくとも僕は)、日本のバス停で、日本語が通じるか通じないか分からない外人が近くをうろうろしていたら、「何やってんのあの人?」と見て見ぬふりをして行ってしまいますが、あのおじさんは優しく声をかけ、英語の分からない外国人の僕にしっかりと教えてくれました。僕はこうした小さな親切が国際性というものにつながるのではないかと思います。
(中学部3年 I君)