昨年2011年度から始まった、中2以下を対象とした学期ごとの社会科フィールドワーク。今年度第一回のワークを5月9日(水)に実施しました。題して「クランレー村散策」です。
CRANLEIGH(クランレー)村は立教から一番近い集落。見えるものは見渡す限り緑の丘陵と草を食む羊と牛たち…というカントリーサイドにある立教ですから、家を出て歩けば店にぶつかる、という都市型の生活からだいぶかけ離れた環境です。その環境においていつもお世話になっているのが、クランレー村。「The Biggest village in the UK」と自称する村ですので、もはや「町」のカテゴリーに片足を突っ込んでいるような規模です。その村をじっくり観察しました。
クランレー村はHIGH STREET(メインストリートのこと)の両側に店が集中し、つくりが単純です。端から端までゆっくり歩いても10分程度。ですが、一つ一つのお店を楽しんで回ると、1時間ではきかないほど沢山の店が集中しています。
バス停のある広場でぐるりと四方を見渡すと、銀行、薬局、カフェ、チャリティーショップ、レンタルDVDショップ、スーパーマーケットが見えます。場所を移して村の中ほどで周囲を観察すると、靴屋、美容院、銀行、OPTICIAN(眼科とメガネ販売店が一緒になったもの)、パブ、文房具店、チャリティーショップ、軽食スタンドからピザ・レストランなど沢山の店がひしめいています。村のはずれでは、郵便局にレストラン、スーパーマーケット、教会、診療所、スポーツセンターなども発見できました。
今回のワークは、小さな村ですが「私達の生活に必要とされる店にはどのようなものがあるか?」を考える目的が隠されています。たくさんある店を種類ごとに分類しながら作業しました。村は教会を中心にHIGH STREETによって集落が形成され、郵便局・診療所・図書館といった公共施設がきちんと整備されています。一方で、様子を観察することでイギリス・日本の違いに気付き、考えるきっかけを与えるためでもありました。たとえば、イギリスでは自動販売機はありません。それが、チェーン店であっても古い建物を利用してつくられる景観を美しく守っています。逆に、日本には街中にゴミ箱を見かけることは今は難しいのではないでしょうか。こちらでは必ず設置されており、行政がきちんと管理を行っています。
生徒たちはというと…
「あっ、不動産やだ!」「また不動産やさんだ」「ここも不動産やだよ!」
家の写真と値段を示したカラー紙がウィンドーに貼られていれば、一目で分かる不動産屋。家を売る不動産業がいかに浸透しているかを気付かせてくれます。と同時に、豊かで落ち着いたクランレー村では家の売買がさかんなのかもしれません。
「これはチャリティーショップ。◇◇ホスピスと書いてあるでしょう。病院のためだったり、もっとたくさんの慈善を行うためだったりします。
使用済みだけれどもまだ使える衣類や食器や本といったものを、人々が寄付してお店がまた売ることで得られた利益を寄付に回すんだよ。」
「これもチャリティーショップだ~」
チャリティーショップはイギリス社会の特徴のひとつでもあります。小さな村に5軒もありました。
小さな村ではありますが、イギリス社会を凝縮したような村。丁寧に観察することで、人々の生活が何によって成り立っているのか、またどんなものが社会の根底に流れているのか、基本的なことから文化まで理解の糸口がたくさん転がっています。
実はワークの途中と最後に、英会話の課題がありました。
「ポストカードと切手を買うこと」。”Three eighty seven pence stamps, please.”
そしてカフェに入って「飲み物を注文すること」。”One coke and two elderflower juices, please.”
P5・M1の生徒のほとんどはこの4月に入学したばかりですが、きちんと頼んだものを手に入れることができました。そしてもらったら目を見てお礼を言うことも。
雨の中行ったワークの最後、カフェでゆっくり休憩し、ご両親やおばあちゃんなどに手紙を書いて投函して終わりました。