中学部3年生では、教科書中の井上ひさしの作品である「握手」の学習後、ことばやしぐさ、行動などを通して自分の最も身近な人物Xについて描写する「Xの肖像」という作文を書きました。
みなさんはこれらの描写から、Xとはどんな人物を思い浮かべるのでしょうか。
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「Xの肖像」
僕は、Xを「お父ちゃん」と呼んでいる。Xは友人のH君に似ていて、自分に都合の悪いことがあるとやらない。そして人にやらせる。遺伝なのか、僕もXに似ている所も多くある。一番目立つのは、僕らのめんどうくさがりやな所だと思う。こんなXは、自分の妻にもよく怒られている。たしかに、僕の母は、Xだけではなく、僕や僕の妹、母の親などにもよく怒っているような気がしなくもない。
こんな悪いイメージしかないXは、僕以外に二人も子供がいるのによく僕のめんどうをみてくれた。兄弟の中で一番上の僕は、たしかにだらしない兄である。自分ではなにもせず、言われないと何にもしない僕に対してXは、いつも、「やればおまえはできる」と言ってくれていて、けっしておまえはもうだめだ、などとは言わないような気がする。たしかにたまには「何でこんな問題もできねーんだよ!」とか「バカ!」とかと言うけれど、最後には、おまえならできると言ってくれる。
これは、Xとぼくのめんどくさがりやな性格をXは知っていて、それでこんなふうに言ってくれるのかもしれない。Xは、たぶん自分のことを分かっているから、僕にその言葉を言ってくれるのだろう。他人には、たぶんむりだっただろう。
こういうことに僕が気づき始めたのは最近である。中学三年生に進級したもののまだまだ遊んでいればいいと思っていたが、やはり受験などのことを考え始めてから、人生甘く見すぎていたということに気づいたのだった。Xの言葉、だれでもやればできるという言葉を信じ、僕はがんばろうと思う。
(中学部3年 男子)