立教卒業生の方だったら、恒例の漢字書き取りコンクールと因数分解コンクールを、懐かしいながらも「いやあ、大変だったなあ」とほろ苦い気持ちで思い出すことが多いのではないだろうか。「面白くて面白くて」という方もひょっとしていらっしゃるかもしれない。
漢字書き取りコンクールだったら、間違いなく最後の10問の難問が思い出だろう。たとえば「ミイラを漢字で書くなんて初めて知ったぞ」というほどの独特の問題、忘れられないと思う。
もうひとつの因数分解コンクールは?
皆さんはどれくらい因数分解というものを覚えていらっしゃるだろうか。学習するのは、だいたい中学校3年生ごろである。高校になると、微積分などでどんどん活用される。
近年の数学ニガテの風潮は立教でも例外ではなく、高校生たちはぶうぶう言いながらも、コンクールに盛り上がってしまい、因数分解に勤しむ。既に文理コース分けが済んだ高2までが受験の対象だ。授業で習ったばかりの中3もちょっとわくわくしながら受験する。
そしてこれに参加するのは、実は生徒だけではない。先生もなのだ。
漢字書き取りコンクールでは先生らしいところをみごとに発揮する立教の先生陣だが、因数分解コンクールとなると、これが難しい。数学から離れて○十年というベテランもあり、「大学受験以来だ」と苦い声がもれる。
受験する中3から高2の担任の先生方は、自らの勉強も含めて(?)、2学期になると一斉にホームルームで小テストを始める。日々の小テストの成績は先生のものも含めて一覧になるから、先生も楽ではない。
そして追い討ちをかけるのが速報。
漢字も因数分解も、コンクールが行われると当日から翌日にかけて、優秀者の結果速報が教室棟入り口に貼りだされる。
頑張った生徒も手応えがなかった生徒も、みな『速報』を楽しみにしている。先生の結果は速報以外では知る機会がないから、当事者にとってはいろいろとプレッシャーなのである。
この時期になると、教員室のあちこちで因数分解を解いたり、解法を質問したりする先生の姿が見られるのも一種の風景である。
教員室で必死になるのは、もちろん生徒もである。
「先生、因数分解の冊子、ください!」 −2学期になると、練習冊子を求めて教員室を訪れる生徒があとをたたない。立教には、基礎から応用までを解説した『これで完璧!因数分解 〜数学科には負けないぞ〜』が用意されている。”共通因数をくくりだす”ところから”たすきがけ”、”なぐってさする”の複二次式、因数定理、特殊公式や難問までをコンパクトにわかりやすく網羅している。
これを使って初歩から解法をおさらいし、あとは何度も何度も解いて式を見抜く力を養うのだ。
先生もちゃんとお世話になっている。
近年はなかなか100点満点が出なくなったが(60分100問です)、今年の因数分解コンクールの一番は、高3の理系の90点突破であった。近日中に実際に行われた問題を掲載したい。みなさんも久しぶりに挑戦されてはいかがだろうか。
最後に、『これで完璧!因数分解』の裏表紙をご紹介する。今はお辞めになった、某数学教諭の名歌である。
因数分解はラジオ体操
気分爽快にしてくれる
因数分解は礼拝
心を静かにしてくれる
因数分解は授業
精神を集中させてくれる
因数分解は放課後
心を開放してくれる
でもやっぱり因数分解は食事だ
どう料理するかはあなた次第
あなたの腕で素敵に仕立ててください
今年の生徒たちは素敵に料理をすることができたか…採点結果が待たれる。