3月5日、本校とCollyer’s college の教育連携の1つであるResearch Projectの第2回目が実施されました。今回のミラー先生の授業では、12名の生徒からさらに選抜された6名が出席。それぞれのproposalに検討が加えられ、より具体的な研究テーマがそれぞれ浮かび、それに対して、どのような資料を基にしていくかが考察されました。
授業の冒頭、ミラー先生からは6名の生徒に第一の課題が与えられます。「なぜそのテーマが大事なのか、説明してください」。この質問に答えられるために与えられた時間は2分。生徒は一生懸命考え、ノートに記入していきます。
その中で、生徒が提出したテーマに対してミラー先生が添削を加えたものが提示されました。抽象的であり、いわば「大きな問い」であった生徒の質問が、様々な角度から修正されて白板に表示されました。
例えば、「What benefits will be expected from ongoing space projects such as Hayabusa 2?」という問いは「Space exploration in Japan costs … each year. What are its benefits?」という質問に姿を変えました。つまり、「ハヤブサ2といった宇宙開発プロジェクトから期待される利益は何か」という問いが、「宇宙開発プロジェクトに多額な資金が毎年注ぎ込まれているが、その利益は何か」―宇宙開発や大規模な科学プロジェクトへの資金の導入の見返りと考えられるものは何か、ひいては、なぜ宇宙開発プロジェクトが正当化されるのか、という、より批判的かつ根源的な問いに姿を変えたのです。
決してその修正されたテーマが強制されるのではなく、「自分が気に入ったのであれば、やってみましょう」というスタンスで提示されたものですが、この「修正」に至った思考のプロセスがミラー先生から説明されました。
論文をより高度なものにする、ということと同時に、クリティカルかつクリエイティブに考える際の具体例が示されたともいえるでしょう。ミラー先生の経験に基づいた、生徒に自分の頭で考えることを促す授業スタイルは我々教師も大いに学ぶところがあります。
このような過程を経て、実際にはどのような資料を用いるかが考察されます。インタビューなどの一次資料か、書籍などの二次資料か。また、どのようなインターネットサイトが使えるのか、真実を伝えているか。
最終的に、生徒たちはあと2か月ほどで5000ワードの論文を仕上げることになります。5000ワードは、英語の文献で約10ページ相当、日本語の文字数に換算すると10,000文字から10,500文字に相当します。この後、オックスブリッジの学生が実際に受けているチュートリアル形式の10回のセッションを経て、論文の完成に近づいていくことになります。
生徒たちは期末考査を終え、春休みを迎えましたが、この春休みの宿題も与えられています。最終的にどのような資料を用いるのか。日本に帰国した際にできることをできる限りしておかなければ論文を書き上げることはできません。春休みの成果を大いに期待したいと思います。