期末テストが終わった翌日から、日本での受験を終えた高校3年生が続々と帰寮し始めました。
卒業式に参列するために、久しぶりに後輩達と会うために、そして先生方に最後のお別れをするために、遠い日本から戻ってきました。
高校3年生だけがする赤ネクタイの姿が久しぶりにキャンパスを行き交うのが不思議な感覚でした。
卒業式当日は生憎の曇天。でも晴れ晴れとした卒業生達の表情はこの「立教での最後の日」にふさわしい顔でした。式当日には更に3名の高校3年生が加わり、全部で13名の高校3年生、そして16名の中学校3年生が卒業生として式に参列しました。
卒業証書授与の際には、参列した保護者の方々に毎年校長先生から「お雛様」の話があります。
「3月3日を過ぎても本校にはお雛様が飾られています。これはかつて卒業生が日本からわざわざ卒業式の際に持ってきてくれたもので、日本で受験をしていて式に参列できない生徒達の代わりに、こうして毎年この式を見守っていてくれるのです。」
そのお雛様たちと同じ思いでこの式を見守っていた方の中には、わざわざ日本からいらっしゃった保護者の方々の姿もありました。我が子が数年を過ごしたキャンパスを実際にその足で歩き、共に過ごした仲間達をその目でご覧になり、先生方に最後のお礼をするために遥々学校に来て下さいました。また、ロンドン日本国大使館総領事、ホーシャム市議会議長、本校理事会の方々を始め、多くの保護者の方々にご参列頂き、47名の卒業生の門出を祝って頂きました。
今年の卒業生スピーチは中学部3年の松田さんと高等部3年の福谷さんがしました。イギリスの名門音楽学校への進学が決まった松田さんはヴァイオリン演奏を通して本校で過ごした2年間の思い出を語り、上智大学に進学する福谷さんは中学部時代からの長い立教生活をもとに英語によるスピーチで後輩達に暖かいメッセージを贈ってくれました。
式の最後には、10年に渡り本校でチャプレンを勤めて下さった高野先生を始め、この3月で退職する4名の先生方がお別れの挨拶をしました。卒業生達がこの「立教」に抱く思いは、立教を去っていく先生方の胸の内にも同様にあり、皆ですごした日々がこれからひとりひとりの生活の糧になり、土台になっていくことを改めて実感しました。
式のあとはホールでランチョンがあり、生徒達のピアノ演奏や歌声が流れる中、和やかな雰囲気の中で歓談が続きました。キャンパスでは卒業生達が最後の別れを惜しみ、帰国する先生方も生徒達に囲まれて数えきれないほどの思い出をひとつずつ語り合っていました。
いつの間にかキャンパスには薄日が差し始め、帰宅する生徒達を乗せるタクシー、ロンドンの保護者の方々の車、ヒースロー空港に向かうコーチ、そしてこれから1週間ミレー・スクールへ短期留学に行く生徒達や、ホームステイをする生徒達のイギリス人ホストファミリーの迎えの車でキャンパスはにわかに賑やかになりました。
「元気でね!」「今度会う時はいつかなぁ。」「頑張れよ!」「また会おうね。」
色々な別れがあった卒業式。それぞれが次の「始まり」に向かって立教を去っていくと、再びキャンパスには静けさがおとずれ、これから1週間の補習をうける高校2年生達がまたいつもの生活にもどりました。