私は中学二年生からこの立教英国学院にいます。その立教生活の中で、学んだものや印象深かったことはたくさんありますが、その中で最も自分の中で大きかったものをこれからお話ししたいと思います。
私はヴァイオリンを四歳から習い、ヴァイオリンの音がとても好きで、小学校の頃は、一日三~四時間弾いていたし、休みの日は一日中弾きました。しかし、中学校に入ってから、学校に通うまでの往復に時間を取られ、練習する時間が少なくなっていきました。いつしか、楽しかったはずのヴァイオリンが、「やらなければ」という気持に駆られるようになり、ヴァイオリンを弾くことが段々楽しくなくなっていきました。
そんな時、父の紹介でロンドンにあるギルドホール大学でヴァイオリンを教えていらっしゃる藤田先生の演奏を聞きました。藤田先生の踊っているような鮮やかな音で、とても楽しそうに弾いてらっしゃった姿に、当時の私は衝撃を受けました。ヴァイオリンを弾くことに行き詰まっていた私は、藤田先生のように弾きたい、藤田先生にヴァイオリンを習いたいと強く思い、そのためにイギリスに行きたいと思いました。そんな時に、立教英国学院のことを知り、この学校を志望しました。これが私がこの立教英国学院に来た大きな理由の一つです。
立教でのヴァイオリンの練習は、今までの練習と全く違いました。まず、ヴァイオリンひとつ弾くのにも、先生からヴァイオリンを出してきてもらい、鍵を貸してもらわなくてはいけません。また、練習する部屋にしても、私はいつも同じ部屋を使っていたので、先輩方や後輩や友達に迷惑をかけてしまいました。
これらのことを通して、私は「一人だけでヴァイオリンをやっているのではない」ということに気付きました。日本にいた時は、一人で何も考えずにただヴァイオリンを弾いているだけでした。しかし、この立教での練習から、先生方や友達の支えがあって初めて自分がヴァイオリンを弾け、練習ができる、ということを学んだのです。そして、私は自分のことばかり考えてヴァイオリンを弾くのではなく、支えてくれた人や演奏を聴いて下さる人のことを考えて弾くようになりました。「こういう風に弾いたらどうだろう」など、弾く曲に対して、どんどんアイディアが浮かんできて、弾くことがまた楽しくなっていくのを感じました。
スクールコンサートや四十周年記念コンサートでは、そうやって練習してきた曲を思い切り弾くことができました。弾く機会をたくさん与えて下さったことは本当に嬉しく、毎学期、何らかのコンサートを目標に練習しました。コンサート本番は緊張しますが、「間違えたらどうしよう」ということよりも、「どう感じてくれるのかな」と思いながら弾くことが楽しみになっている自分がいました。そうして演奏し終わった後の友達や先輩・後輩、先生方やお客様からの拍手と笑顔は一生忘れられない私の宝物となっています。心からヴァイオリンをやって良かったと思いました。
この二年間の立教生活で、私はヴァイオリンは一人で弾くのではなく、みんながいるからこそ演奏できるものであることを学びました。私に、そんなとても大切なことを気付かせ、そして受け入れてくれた友達、先生方、今まで本当にありがとうございました。私は四月から音楽学校に行きます。立教で学んだことや思い出を胸に、これからも精一杯進んでいきたいと思います。
二年間、本当にありがとうございました。これでスピーチを終わります。聴いて下さってありがとうございました。