「日本の心臓」

「日本の心臓」
 日本には今、約180万社の株式会社がある。私達が知っている会社はほとんどが株式会社だろう。でも株式会社とはいったい何をしているのだろう。その謎を解くために、私は「金融体験ツアー」に参加した。
 まず、東証アローズ(東京証券取引所)を見学した。ちなみに東証アローズという会社も株式会社の一つである。どのような会社も、新開発や新しい工場を作るために、多くのお金が必要となる。その多くのお金を用意するには銀行でお金を借りる。しかしその方法は利息つきで返済しなければいけないので大変だ。ところが、株式を発行すると返済がいらない。株式を発行することで資産を集めて資金を集めて事業を行う会社を株式会社というのだ。
 では株はどこで売買できるのか。株式を売りたい人、買いたい人(投資家)は世界にたくさんいる。しかし自分で相手を見つけるのは大変だ。そこで証券会社は株式の売り買いの注文を取り次ぐ窓口になっている。でも証券会社でも自分で売買の相手を探すのは大変だ。そこでスムーズに株式の取引を行うため全国の投資家からの注文は証券会社を通じて証券取引所に集められる。現在証券取引は東京、大阪、名古屋、福岡、札幌に各一ヶ所ある。どこも日本の産業、経済の中心となる都市だ。その中でも最大の取引所が東京証券取引所で、株式の売買代金は全体の96%を占めている。
 次に野村證券に行き株式の取引の見学をした。そこでは、一人でいくつものパソコンを見ながら、チェックをしていた。株価が下ったか、株価が上がったかを予想するのは難しい。
 例えばアップル社という、今では超有名な会社がある。昔のアップル社の株価はゼロ。アップル社が人気急上昇になるとは誰も思っていなかった。しかしある一人がアップル社に投資をした。そのお金でアップル社はiPodやiPhoneなどを開発した。そしてそれは世界中の人が誰でも持っている必需品になったのだ。私はその話をガイドの人から聞き、とても感動した。
 そしてもう一つお話をしてくれた。それは、ガイドさんの体験談だ。その人は新入社員の時に、アシスタントトレーダーという仕事をしていたらしい。ある時ちょっとしたミスをしてしまった。しかし自分も先輩も上司もそのミスに気付かなかった。二十分後取引きをしている会社から連絡があり、怒られた。たったの二十分間で株価が変わり、自分のせいで三百万円の損失をしたと言っていた。その話は私の中で響いた。少しのミスも許されない。そんな社会に大人達は立っているのだなと思った。どの会社も必死にもうけようとしている。私の父や母も家に帰ってくると、
「今日、株上がったね。」
などの言葉をよく発する。野村證券では緊張感が漂っていた。しかし緊張感が漂っているのは他の会社も同じなのかなと感じた。
 最後に、株価が上がった時に買うのか売るのかということを、ゲームを通して私も体験してみた。それはとても難しく、私は大きな損失をしてしまった。一方で、高校生の中に二百万ももうけた人がいた。
 「金融」のことについて学ぶことは難しかった。将来は、自分もその立場になるのだなと思うと、気が重くなった。そして、株が今上がっているのか、下がっているのかということに前より敏感になった。
(中学部3年生 女子)