天候、小雨のち曇。傘が必要というほどの大雨ではなく、また身が凍えるような寒さではなく、程よい冬の気温に英国らしい曇天。英国の思い出作りに相応しい天候の下、高等部2年生は、マダム・タッソー館(Madam Tussauds)を訪れました。
マダム・タッソー館は楽しいのか? 勉強になるのか? と訝しがる方々もありましょうが、なかなかどうして、見事なものです。ただの蝋人形が飾ってあるだけではないか、と思って入館すると、その精巧な作りに圧倒されます。「本物そっくりに似せて」とはよく聞くセリフですが、いや、これはもう本物なのです。腕の肌一つ見ても、そのモデルの年齢を感じさせる張り・或いはシワ、透き通るような色・或いは日焼け具合やそばかす。そして視線は、遠くを見つめているような目でありながら焦点が定まっていて、もう正真の模擬品とでも言うんでしょうか、圧巻です。
誇張でも大げさでもなくて、実際生徒の皆さん、「カメラを構えているタレントさんの像」の前では、写真を撮っている本物の人がいるのだと思って撮影の邪魔にならないように避けたり、うっかり接触して “Sorry.”と謝ったり。(本当は、この像の横にぴったりと並んで写真を撮ればいいのにね。)
そしてもう1つ、マダム・タッソー館は、もはや単なる蝋人形館にはとどまらず、楽しいアトラクションを通じてロンドンの歴史,英国の歴史,ひいては世界の歴史を垣間見て回る場でもありました。映画,スポーツ,ファッションの流行、一世を風靡した人々一連の繋がりも、学ぶことができました。
遊ぶ感覚で中に入ったマダム・タッソー館ではありますが、しっかり学んでから出てきました。
さて、夜はミュージカル観劇です。レ・ミゼラブル(Les Miserables)は、何故かくも人の心を捉えて離さない作品なのでしょうか。今回観劇した生徒の中には、初めて観る者あり、原作を本で読んだ者あり、そして映画を見たことのある者も。
最後は高揚感に包まれて終劇。会場の外に出ると、濃霧のロンドンでした。えもいわれぬ不思議な感覚が漂います。劇場では、19世紀初頭フランスが舞台のミュージカルを見ました。そして私たちは今、2019年の今日、英国に居ます。立教英国学院で過ごすということは、夢とも現実ともつかぬ、いや、現実なのですが、なんともファンタジー溢れる学院生活ではありませんか。ここでの生活も余すところ1年弱。与えられた今、此処を感謝して、日々を送り続けたいものです。