立教英国学院の茶道部はとても幸せです。
なぜなら、海外という立地なのにも関わらず、お茶室でお稽古ができるから。
床の間を見て、水屋で準備をし、襖をあけて畳の上でお点前の稽古をしています。
この茶室は数年前に、裏千家ロンドン出張所のご紹介で、ビクトリア&アルバート博物館から譲っていただいたもの。今も大切に使っています。
茶道部は、週に最低2回は必ず活動するようにしています。
こぢんまりとした学校ですので、兼部の生徒が多く毎日毎日というわけにはいきませんが、
週に1回は初心者向けの活動を、経験者の先輩方が割り稽古から盆略点前まできちんと教えてくれる基礎の活動を、
1回は必ず週末のどちらかの日に、顧問の先生と共に稽古をしています。
さて、そんなある日の土曜日。
以前、GCSEの物理を教えて下さっていたギンバー先生が茶道を見たい、とお友達を連れて来校されました。
ちょうど、5〜6月にみっちり割稽古を行った4月の新入部員たちが、9月に入って盆略点前を稽古し、いよいよ実際にお湯やお菓子を用意してお点前をしましょう、という土曜日だったのです。
15時ごろから稽古を始めて、ほっと一息ついたとき。お客様方がお見えになりました。
ちょうど最後の生徒の番。
その番にあたっていた高1の生徒は一挙に緊張しました。彼女が先輩方に助けられながら、水屋で準備をととのえている間、高2の先輩方が1学期に作った茶道クイズを使ってお客様にリラックスしてもらいました。ちょっとしたお茶の豆知識も。質疑応答もあって、あっという間に和やかになりました。
来校した皆さんの中からお点前のお客様を招いて、初めてのお点前が始まりました。
初めてですので、顧問の先生のアドバイスをもらいながらゆっくり点前を進めます。
まずお菓子を運んでお客様にご挨拶。
次に道具を運んで、割稽古で学んだとおりに一つ一つ道具を清めていきます。
そしていよいよお茶を点てます。
「なかなか泡立たない…!」と、言葉には出さないものの焦ります。
「もっと大きく縦に振ってごらん。底に茶筅をこすり付けすぎないようにね。」
ようやく綺麗にお茶が点てられました。
お客様にお茶をおいしく飲んでいただいたあとも、道具をひとつひとつ片付けます。
水屋に下がって最後のご挨拶をすると、皆さんから温かい拍手があがりました。
「ありがとう、とってもよかったよ。」
「あのクイズは君達の手作り?すばらしいね。」
茶室の教室の外までお見送りして、全員でほーっ。肩の力が大きく抜けてしまいました。
「お疲れ様。さぁ、最後にお茶を点てて飲みましょう。」「やったぁ!」
お疲れ様もあるけれど、ちゃんと自分でお茶を点てて飲んでみることも練習のひとつ。お菓子やお茶の頂き方もしっかり復習しました。
「私、初めてだったのに…緊張したぁ。」
初めてのお点前で、外からお客様を迎えてお茶を差し上げられたなんて、凄い体験です。きっとずっと先まで覚えているお点前になることでしょう。