6月19日(土)に開催されたオンライン国際シンポジウム『緒方貞子さんの思いを受け継ぐーアフリカと日本を結んでー』に本校の生徒が参加をしました。
本シンポジウムを終えた高校3年生と中学2年生の感想をご紹介いたします。
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今回私が参加した国際シンポジウムは、亡くなられた緒方貞子さんの思いを受け継いでいる平和の作り人の活動や考え方について学ぶ会であった。特に、アフリカで起きている問題に対して講演者の方々がどのような活動をしていて、何を考えているかを学ぶ機会になった。私が特に印象に残ったのは、貧しい子どもたちに対する「教育」の重要性と「和解」についてだ。
「教育」は貧しい子どもたちに将来の夢を与え、また学ぶことで結果的に次世代へとつながるため、教育は未来を切り開く扉になっていた。環境や金銭的な問題から子どもたちが不当に教育の機会を奪われているということは、それ自体にも問題があるが、彼らの将来の可能性を奪いかねない点でも問題であると考えた。教育を受けたルワンダの子どもが、将来は医者になりたいと話したというエピソードがあった。これは教育のおかげである。もしその子どもが教育を受けていなければ、将来の目標を持つことはなかったかもしれないし、その子どもが将来、社会に貢献する機会も奪われていたかもしれない。そういう意味で、教育の機会をすべての子どもに与えて、生きる道を開くことは未来の世界を支える上でも重要だと考えた。
アフリカのルワンダで活動する佐々木さんが語った「和解」についての話も大変興味深いものだった。昨年度に本校では、ルワンダで起きた大虐殺を乗り越える現地の人たちについての講演会を2回行って頂いた。今回は実際に夫が大虐殺の加害者になってしまった方の話を聞くことができた。彼女は、夫が加害者になったことについて周りからの目を気にして生きていたが、被害者の妻たちと一緒に働くという機会を通じて、加害者・被害者のそれぞれの立場を超えて、幸せや悲しみを分かち合うことができたと語っていた。過去の事件について和解をし、心から許し合うということはなかなかできない。しかし、許し合うことができた女性たちは、今もお互いを尊重し合いながら一緒にコロナウィルスという壁を乗り越えている。過去の出来事を許しあって共存していくには、コミュニケーションをとって互いに理解することが一番大切なことなのだと感じた。時間はかかるが、このプロセスこそが、今世界で起きている様々な対立の解決の鍵になるのだと学んだ。
今回紹介していただいた全てのプログラムを通じて、緒方貞子さんの「自分が、現場に行ってみることが大切」という想いが根底にあることを強く感じた。今日では、インターネットが普及して、現場から離れているところでも何がおきているのかを簡単に知ることができる。しかし、現地に行かないとわからないことが多くあり、実際に経験したり、その問題を経験した人から直接、話を聞いたりしなければわからないものがある。そのような、現地に行かないとわからない情報を知ることで初めて、問題解決の第一歩になるのだと思う。大学生のディスカッションの中で、現場に行って行動することの大切さが取り上げられていたが、そのなかで、どのように行動すればいいのか、という議論が印象的だった。大学生が目の前の課題に全力で取り組むことで、進むべき道が鮮明になると語っていた。私は、社会問題に強い関心を持っているが、わからないことが多くありどのような道に進むべきかまだ鮮明になっていない。今回のシンポジウムで学んだ、現地に行って問題に取り組むことの大切さと、目の前の課題に全力で取り組むことを意識しながら、今後も知識の深化に励みたい。
(高等部3年 男子)