時間、それは、人間が人間らしく、豊かに生きることを可能にしてくれる、人生というものの、原料であると思いました。
私が、今回読んだ「モモ」は、年齢もどこからやって来たのかもわからない、不思議な才能を持った女の子が、人々から時間を盗んで生きている集団、灰色の男たちから、大人たちの盗まれた時間を、愛と勇気の力で取り戻すお話でした。
私が、この本を読んで感動したのは、女の子が時間をつかさどる人物に会い、時間そのものについて考え、出した答でした。「さわることはできない。つかまえられもしない。時間とは、一種の音楽でいつもひびいているものなのよ。とおくから聞こえてくるけれど、心のふかいところでひびきあっているものなのよ。」
私はこの四文で、今まで心の中で靄の様に漂っていた時間というものの答が、明確になったような気がしました。と同時に、現代の時間と戦いながら生きる社会に生まれた私たちは、本当の意味での時間というものがどれだけ素晴らしいか、気づかないで過ごしている人が、実はとても多いのではないかと思いました。
立教は、確かに朝の準備は二十分しかなくて、夜は遅いときもあり、時間があまりないと思っていたけれど、自然豊かな英国という地に囲まれて生きることができるのは、同じ時間の中で、とても良い人生の一部と将来なるのだろうと思いました。また、人生で大事なことは、なにかで成功することでも、たくさんのものや、権利を握りしめることでもなく、生きることのほんとうの素晴らしさを考え、素直な心で人生という道を見て、真っすぐに歩んでいくことだと、本書を通じて、学ぶことができました。そして、本というものは、人生を豊かにしてくれるスパイスだと思いました。
(中学部1年生 女子)