小学生の秋のアウティングの目的地は、世界遺産のストーンヘンジとハリーポッターの撮影場所としても有名なレイコック修道院です。そして1日の終わりは、学校近くの村まで戻ってパブレストランの豪華なディナーで締めくくりました。2学期も早一ヶ月が過ぎようとする頃、毎週末外出して「イギリス」を満喫していた小学生たちではありますが、丸一日コーチで南英を大移動したこの日の体験は更に刺激的だったようです。
「ワーッ、見てー、ストーンヘンジ!!」
学校から出発して2時間程経った頃、突然誰かがそう叫ぶと、皆の視線が一斉に右手前方に集まります。少し離れた小高い丘の上に、写真でよく見る、いくつもの大きな石が不思議なバランスで立っている光景がありました。子供たちの感動の声に反応してか、コーチはゆっくりと速度を下げ、窓越しに記念撮影が始まりました。が、それも束の間、コーチはどんどんその巨石群から離れ、気がつくと、まるで何事もなかったかのように再びイギリスの平和な田園風景が広がっていました…
「さ、そろそろ着きますからねー。用意を始めて下さーい!」
今日は、制服で出かけた上級生たちとは違って、小学生はカジュアルウェアに運動靴といういでたちです。そう、これからウォーキングの始まりです。さっき通り過ぎたストーンヘンジまで、数千年前の人々の気持ちになって丘の上をずっと歩いてあの巨石群に再びアプローチをするという計画です。アスファルトの道からフィールドを横切るフットパスに入り、いくつかのゲートを通り抜けて大きな牛たちが放牧されている牧草地まで来ると、遠くの方にさっき見たのとはまた趣の違うストーンヘンジが見えてきました。でも今度はそれが少しずつ近づいて来る面白さ! 牛の落し物を踏まないように注意しながら、時々鬼ごっこをしたり、小さな花を観察したり、色々な思いを巡らせて大きな大きな石の造形物に近づいて行きました。そして遂に辿りついたストーンヘンジ! コーチの車窓から見たのとはまた違った顔で、子供たちを迎えてくれたのでした。
本や映画で見たことのある「本物」に出会えたのはストーンヘンジだけではありません。その後に訪れたレイコック修道院でも「ハリーポッター」のシーンに使われたという「本物」をいくつも目の当たりにしました。そして締めくくりのパブレストランでも、映画に出て来るようなイギリス然としたお洒落な空間で「本物の英国」を体験することができました。
「先生、ケチャップって英語でなんて言うんですか?」
「Ketchup!」
「あぁ、そうか… Excuse me, May I have ketchup please?」
臆することなく、習った英語を即座に発する小学生たちの元気のよさに圧倒されながらも、今日も一日無事に、そして楽しく過ごすことができたことに感謝しました。
また一つ増えた貴重な「イギリス体験」。入学した頃の緊張感も今はもうすっかりなくなり、一つ一つの体験をしっかり消化出来る余裕も出てきた小学生たち。英語の勉強だけではなく、イギリスの「文化」を肌で感じる毎日をこれからも大切にしていって欲しいものです。