10月19日、快晴。この日は絶好のアウティング日和。小学生と中学生はまずケント州にあるリーズ城を訪れました。このお城は約1000年前に立てられたイギリスでも屈指の美しいお城です。かつてはイギリス王妃の居城でもあり、かなり見応えのあるところでした。
お城に到着するとまずは腹ごしらえから。昼食を広い敷地内のピクニックエリアで食べました。育ち盛りの中学校3年生の男子グループは、途中のスーパーで分担していろいろな材料を買い込み、その場でオリジナルサンドイッチ作り。湖畔のベンチでとった昼食から早くも楽しいアウティングが始まったようでした。
昼食後はピクニックエリアのすぐ隣にある巨大迷路に挑戦。子供騙しだろうと気軽に入った迷路、実は一筋縄ではいかないものでした。初めは友達と話しながらのんびり歩いていた生徒達も、次第に早足になり、最後は息を切って走り出す場面もありました。すぐそこにゴールの塔が見えているのに、辿ってきた小径が無情にも入口方面に戻り始めたり、あと数メートルのところで行き止まりになったり。そんな中、最初に塔の上に到着したのは中学校2年生のH君。早速高い塔の上から声を張り上げて皆を誘導し始めました。上から見ると、綺麗に刈り取られた生垣の中を皆が面白いくらいに右往左往していました。幾何学的に美しくデザインされた生垣の迷路を穏やかな日の光が優しく照らす中、何人もの立教生達が元気に走り回っている姿がとても印象的でした。
湖に浮かんだ美しいお城の前でクラス毎に記念撮影をした後は、いよいよ城内に。中にはいくつもの部屋や廊下が続いていました。かつて王妃達が暮らしていたというだけあって、その佇まいはしっとりと落ち着いていて、上品で美しい部屋がいくつもありました。平日とあってあまり人がいなかったので、ふと大きな部屋に一人取り残されたりすると、ドアの向こうからヘンリー8世や王妃たちがスーッと入ってくるかのような不思議な気分になりました。「こんなにワークシート一生懸命やったの久しぶりかも。」と中1のKさん。生徒たちは各部屋の案内板の英文を読んだり、日本語の案内を見つけてグループ内で情報交換をしたりして、楽しみながら社会科の先生が作ったワークシートに取り組んでいました。
リーズ城で3時間ほど過ごした後は、そこから30分ほどのところにあるチャタム造船所に向かいました。ここは夢見心地のウットリするようなリーズ城とは打って変わって、ペンキや油の匂いがそこここに漂う別世界でした。ただ、少し低い空から差す眩しい日の光と高くて青い空、そして観光客の少ないのんびりとした雰囲気はどちらも同じでした。
広い敷地内に大きな建物がいくつも並び、その中には古き良き時代の乗物がうっすらと埃をかぶって並んでいました。生徒達が最初に向かったのはドックヤードの中央にある大きな潜水艦。現役時代はきっと深い海底に潜ってばかりだったその巨大な姿は、今は深く大きくえぐり取られたコンクリートの溝の中に不思議な様子で収まっていました。案内されて入った船内は意外にも窮屈。あんなに大きく見えた外見からは想像もつかないくらい部屋やベッド、キッチンやトイレに至るまですべてがミニマムの大きさでした。いくつもの丸いハッチをくぐり抜けて、頭を低く下げながら通り抜ける船内は、特に展示用に磨かれたり手入れされている様子もなく、かえって現実感があって、現役時代の船内の緊張感が伝わってきそうな空間でした。
何日も前から楽しみにしていた一日はあっという間に終わり、最後は夕食とショッピングを兼ねてBluewaterという巨大ショッピングモールへ行きました。数年前まではヨーロッパ最大の規模を誇っていたこのモール、沢山のお店とレストラン、広くて高い空間、洒落た内装とシックな雰囲気、どこをとってもこの日の最後の思い出にはピッタリの場所でした。約2時間、グループごとに買い物と食事を楽しんだあと、全員無事に帰路につきました。