国際性について
中三三学期の国語の授業で今道友信の「温かいスープ」を読みました。その中で、国際性とは「外国語の能力や学芸の才気や事業のスケールの大きさ」ではなく、「相手の立場を思いやる優しさ、お互いが同じ人類の仲間であるという自覚なの」であり、「求めるところのない隣人愛としての人類愛、これこそが国際性の基調」なのだと述べてありました。
私はこの文章を読んで感動しました。パリの小さなレストランの女の人たちのさりげない親切から、今道さんはフランス人にどんなひどい事をされようとフランスを嫌いになる事はないと断言しているからです。日本人だとかフランス人だとか関係なく、みんな仲間で同じ人間なんだと分かりました。
私自身の経験ですが、小学五年生の頃の話です。私はベルギーの日本人学校に通っていました。ある日、私のクラスに転入生が入ってきました。初めて見た時は驚きました。金髪だし瞳は青くて、彼女は日本人とオランダ人のハーフだったのです。小学校の頃は私も私の周りも今以上に子供で、表面的だったので、話しかけるのが恥ずかしくて積極的に接してあげられませんでした。どうして私は恥ずかしがってしまっていたのでしょうか。それは、「温かいスープ」を読んで分かりました。自分とは違うものと思ってしまっていたからなのだと思います。今となってはとても後悔しているのですが、顔や体、言葉や文化が違うことの大変さに気付きました。国際性とは積極的に自分から話しかけたり誘ったりしてまず行動を起こすということだと私は思います。
次に、私は中三の一学期と三学期に英検を受けました。一回目は落ちてしまい、三学期の結果はまだ出ていませんが、そのときの私の経験です。一回目のテストでは緊張していたし、落ちるとは思ってもいなかったのでとてもショックを受けたのを覚えています。自分に足りないものは何なのか。相手に、試験官の人に与える印象や態度だと思います。私はあせりすぎたのか、無表情だったのでしょう。相手の面接官もあまり笑いませんでした。二回目は、過去のこのような事に気を付けました。気付いた事があります。笑顔で「ハロー」と言うのと、無表情で「ハロー」というのとでは、話しを続けていこうとする相手にとってどれだけ大きな効果をひき起こしているのかということ、笑顔が相手に話し続けやすさをもたらしているのだなと思いました。それで、今回は面接を楽しく感じる事ができました。国際性とは、あのパリの小さなレストランの生っ粋の女の人のような「目で笑う」笑顔で周りを楽しくするという事だと思います。
きっとどの世界にいる人とでも、自分が本当に仲良くしたいっと心から思って、正確なことばの決まりなんかは分からなくても、真剣に話そうとすれば、相手も私を分かろうとしてくれるはずです。国際性とは、人類愛であり、積極性であり、笑顔なのだと思います。
(中学部3年 Sさん)