鑑賞文を書いてみよう!〈その1〉(国語科)

鑑賞文を書いてみよう!〈その1〉(国語科)
中学部1年では、3学期の国語学習の中で、芸術作品に触れ、それについて自分で鑑賞文を書いてみるという学習をしました。鑑賞文を書くにあたって、ただ単に「きれいだ」「美しい」だけに終わらず、色彩や構図、音、におい、作者の伝えたかったことなど、いろいろな観点に基づいて分析しながら、自分の感じたことを表現してみました。普段の作文とは違っていて、なかなか苦労した生徒もいましたが、それぞれが感じた芸術作品をご紹介します。
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●『子供と伯母(パウル・クレー)』の鑑賞文
ひとつの絵にわきでるイメージ
 パッと見るとピンクなどの暖色が使われていて、繊細であたたかく優しいイメージがありませんか? 私は、この絵をパッと見て、そういうイメージが思い浮かびました。
 けれど、よく見てみるとパッと見るよりもイメージがわきでてきました。それは、よーく見ていたら分かります。皆さんもよーくよーく見てみてください。後ろには、絵のタイトルにもある伯母がいて前に子供がいます。それはそれは、ほんのりと仲の良い伯母と子供が映し出されています。
 それをまたよく見ると、体の色や肌の色がピンクや暖色系の色になっていて、陰の部分の色は寒色になっています。こういった事で立体感をだしているように感じました。
 みなさんは、この二人を見て何をしている様子に見えますか?私は、二つの様子が想像できます。まず一つ目は、踊っているように見えました。お祭りで二人で楽しく踊っているように見えました。耳をすませてみると、お祭りでにぎわっている音が今でも聞こえてきそうです。もう一つは、二人で手をつないで歩いているように見えました。二人で笑って歩いている様子にも見えました。
 この絵は、ただ棒を描いて色をぬっているだけにも見えたけれど、よーく観察してみるといろいろな印象、イメージがわき出てくる絵でした。
(中学部1年生 女子)
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●『名所江戸百景 目黒太鼓橋夕日の岡(歌川広重)』の鑑賞文
 この絵をよく見てみると、手前にある橋や木、人ははっきりと描かれているのに対して、奥の方にある森林などはくっきり描かれておらず、ぼんやりと描かれている。また、この橋を渡っている人たちは、楽しくなさそうで、寂しい雰囲気が漂っている。この寂しい雰囲気を漂わせているのは雪であると思う。
 この雪は辺り一面に積もっていて、すごく冷たそうな色を出したり、がやがやしておらず、静かであり、雪が降る音と人びとが歩いている足音しか聞こえてこないように、この絵の雪を見て感じた。
 この雪は人びとの温かさなどは感じられず、また温かさではなく、つめたさなどが感じられる。
 僕は「名所江戸百景」の絵の魅力は、雪や人びとの寂しさであると考える。人びとは何にも会話せず、もくもくと歩き続け、寂しさなどが伝わってくる。この寂しさを伝えているのはやはり、雪なのではないだろうか。
(中学部1年生 男子)