文章のジャンルは物語、随筆、詩などありますが、今学期の小学部6年生の国語科では鑑賞文を書きました。
まずは、教科書での単元「『鳥獣戯画』を読む」を読み、作者が鳥獣戯画のどこに注目し、またどんな言葉で作品を評価していたりするのかを調べていきました。
初めて絵を見た時は、「うさぎがいる」「かえるがいる」「うさぎとかえるがすもうをとっている」だけしか言えなかった生徒たち。
しかし、読んでいくと、作者は線の描き方や背景に注目していたり、またうさぎの耳の先やふさふさした胸、かえるの背中の筋肉に注目していたりと、もっと具体的でした。
そこで、「まだ絵を見たことがない人に、まるで目の前で見ているように言葉で説明していこう」と指導していきました。
そうすると、「かえるが「やってやった!」と言っているみたい」「かえるがすもうで勝ったことに仲間のかえるが大喜びをして、笑い転げている」「背景にあるくぼみは丘を表しているのか」
などの意見が出てきました。
「『鳥獣戯画』を読む」を読んだ後は、自分たちで実際に鑑賞文を書いてみました。
小学6年生は3人ですが、2人は「風神雷神図」もう一人は「三人の音楽師」を選びました。
初めから作文を書くのではなく、まずは絵を細部まできちんと見るよう、気づいたことをたくさんメモさせました。
また、気づいたことから、それについてどう思うか、など一歩進んだ考えを促しました。
メモが出来上がったら、文章の構成をどうするかを考えさせました。
元々あまり作文が得意ではない子が多かったため、まとめには苦労し、みなでどうしたらまとまるかを話し合ったりもしました。
また、題や出だしなども工夫するよう指導しました。
苦戦しながらも、書いた生徒たちの作文を3回に分けてご紹介します。
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小学部6年 国語 「鑑賞文を書こう」第1回
「風神の姿」
この絵には見所がたくさんあります。僕は風神を中心にして考えました。主に大きく分けると四つの項目に分かれます。
一つ目は、オニのうでや足についてです。両手には白い布(ハンモックのような物)を持っていて、両かたには黒く細長い布を付けています。両手首には金色のリング、両足首には少し大きめの金色のリングをはめています。そこで僕はなぜ手、足にリングをはめているのか疑問に思いました。
二つ目はオニの顔です。まゆ毛は太くて白く、目については、瞳孔は黒くて小さいが、白目の部分は黄です。鼻が少し高く、耳も大きいです。額には角が一本生えていて、太く黒色、かみの毛は金色だけれども約五本おきに黒色もあります。口周りにはひげが生えていて白く、あごひげは少し長く白いです。口元は笑っていて、歯は白いです。そして、その他全部緑色です。
三つ目は、オニの行動です。笑いながら走っていることから、「風を起こすぞー」と言っているのだろうと思いました。雷神の方は、「雷=たいこ」と感じたので、ばちのようなもので何かをたたいて雷をおこそうとしているのではないかと感じました。
最後の四つ目は背景です。絵を見ていると、全体が四等分されていることに気づきました。なのでこの背景は、きっとびょうぶで描かれていたんだろうと思いました。黒い線がはっきりとあり、折り目のようになっていたので、そう思いました。
これらのことから、風神の顔はおじいさんのようなのに、筋肉がすごくあるのは、いつもこうやっていつも笑いながら元気に風を起こして、僕たちのために働いていてくれているからなんだろうと思いました。
(小学部6年生 男子)