高等部2年生アウティング 「ウィンザー城とロンドンと」

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高校2年生の5月15日は、高校生活最大のイベントの1つ、I.G.C.S.Eの試験の日だった。
長い間勉強を続けてきた試験が木曜日に終わって、翌日はアウティング。
「気がかりな試験が終わってから行けるって本当にうれしい!」
ぎりぎりまでノートを見直し、生物の英単語を確認し、模試を解いて解いて粘った試験勉強。
試験終わってアウティング、本当に晴れ晴れとする。
行き先は、午前中は”女王陛下の週末の城”ウィンザー城、午後はロンドン也。
アウティング・デイは今年一番の夏日となった。
気温は20度までぐんぐんあがって、ウィンザー城で衛兵交替を見る頃には、みなシャツ一枚になってゆく。ふさふさの黒い帽子(ベアスキン帽)をかぶった衛兵は見るからに暑そうだが、誰も暑そうな顔はしていなかった。汗ひとつ流していない。さすがは輝ける大英帝国の衛兵。
ちなみにこのベアスキン帽。カナダ生まれの熊一頭をつかって帽子をひとつ作るのだ。
衛兵は、警護兵と楽隊で構成されるということも発見した。「女性の衛兵が何人もいる」と女生徒たちがガヤガヤ。意外だ。21世紀に生まれた子供たちにとって、女性の進出はもっと身近で一般的だと思っていたのに。彼らが社会人生活に慣れてリーダーシップを発揮する頃、もっと女性の衛兵が多くなるに違いない。彼女達が働く世界ももっと女性が活躍しているだろう。
ウィンザー城内(厳密には城内と礼拝堂)はワークシートを使って、ポイントを抑えて見学する。
ワークシートがあると、『謎解き』のようで楽しめる。H2生たちにとって面白かったのは何だったろう?
◇ウィンザー城修復費の捻出がきっかけで、バッキンガム宮殿が一般公開されたこと?
◇ウィンザー城がもう1000年もの歴史を持つ建築物であること?
◇トラファルガー海戦でネルソンを死に至らしめた銃弾?
◇”MDCCXCIX”−ヨーロッパ風の西暦表示が読めるようになったこと?
◇緑色のクジャク石でできた杯が自分よりも大きかったこと?
 (ロシア皇帝から贈られたものだ)
見学とは新しいものを発見することだ。新鮮な驚きを得ることだ。高2生の印象に何が残っただろう?
午後ロンドンに移ってからの、1時間半のウォークラリーはちょっと大変だった。
先生たちが知恵を絞ったウォークラリー観光。ヒントを元に次々に場所を探し当てるのだ。
はじめの『首相官邸ポイント』は皆が一斉にやってきた。ダウニング通り10番地。
その辺の人に英語で聞くよう伝えてあったこの住所。ロンドンっ子なら誰でも知っている。
先生からもらったクイズも意外にすらすら。だいたいキャメロン首相の名前は知っていたし、彼の顔もわかった。(ただし、ジェームズ・キャメロンとデイヴィッド・キャメロンにはみごとに引っかかってしまった)
ところがなかなか見つからない、『ローマ人と戦ったブリテン島の女王ポイント』と『3つのヒントを元に場所を探し当てるミレニアムポイント』。
首相官邸近くは警備員のいる建物が多いから、ちゃっかり警備員をつかまえて尋ねる生徒たちもいた。天気のいい中、あちこち探し回って「せ〜んせ〜ぃ、みぃ〜つけた〜」と走る生徒たち。
ラストポイントは、全ポイントで1つずつヒントを貰って探す『ナイチンゲール像ポイント』。「疲れた」と文句言いながら嘆きながら、わいわい探して歩き回ったウォークラリーは、忘れられない出来事の1つになるだろう。
この日、ウィンザー城には女王旗がひるがえっていた。
姿は見られないけれども、在位60年以上にも及ぶエリザベス女王と同じ場所にいた1日。
天気がよくて暑くって、ロンドン内を駆け回った1日。
思い出のページにくっきり刻まれたことだろう。