毎年この時期になると地元ReigateとRedhillの町で約10日間に渡って音楽フェスティバルが開催されます。本校からも今年は中学生から高校生まで延べ29名が参加、演奏部門もピアノから木管楽器・金管楽器、ギターまで様々でした。車で小一時間のところにある会場までは教員が順番で引率をします。今日は木管楽器とピアノのクラスがありました。
小雨の降り始めた土曜日の午後、中学3年生から高校2年生までの女子生徒5名がまず出発。車内では日本の学校に在籍していた頃の吹奏楽部の練習やコンサートの話で盛り上がっていましたが、車が会場に到着して一歩外へ出るとそこはイギリス。古い教会を改築した会場には、地元や遠くの学校から先生や保護者に連れられてたくさんの子供たちが集まっていました。
最初のクラスでは10数名が演奏。本校からもフルートの生徒が3人出場しましたが、いきなりトップバッターが本校の高校3年生。フォーレの美しいメロディーをゆったりと優雅に奏でてくれました。あとで聞いた話ですが、なんと会場にはドイツからご両親が遥々いらっしゃっていたとのこと。そんな緊張感は全く感じさせない堂々とした演奏でした。
全員の演奏が終わると、そのクラスに出場した演奏者に対して、審査員が一人一人コメントをしてくれます。
そして最後は結果発表。
「皆さん素晴らしい演奏でしたよ。音楽を楽しむ若者たちがこうして一生懸命演奏しているのを見るのはとても嬉しいことです。スタイルも楽器も様々ですから1位を決めるのはとても難しいことですが…」
少し緊張した面持ちで審査員の言葉を待つ彼女たちでしたが、結局3人とも1位のメダルは逃してしまいました。
みんないい演奏だったのになぁ、慰める訳でもありませんが、笑顔で彼女らを迎えようとしていると、他の子供たちの伴奏を担当していた女性がわざわざこちらにやって来て、「あなたは彼女たちの先生?とってもいい演奏だったわ。特に最初の女の子。すごく暖かくて優しい音。上手でしたよ!」
そう言えば、前に引率で来た時にも何度かこんなコメントを頂いたことがありました。良いと思ったらちゃんとそれを伝えてくれる人たちがたくさんいるこの国には、リラックスしてのびのびと演奏ができる豊かな土壌があるように感じました。
その次のクラスに出場したサックスとフルートの2人は審査員の方からとてもいいコメントを頂いたのでかなり期待をしてしまいましたが、結局1位のメダルを獲得したのは8歳のフルート奏者。上級者クラスの1位が小学生とは! 蝶ネクタイまでしてビシッと決めてきただけあって、技術的にも音楽的にも確かに申し分ない演奏だったのですが、本校の二人の演奏もかなり良かっただけに、とても残念でした。いつの間にか我が子を応援する親の気持ちになっているのも妙でしたが…
練習室に戻ると「次のクラスは頑張ります!」と、もうしっかり気持ちをとり直している笑顔を見てまずは一安心。次のピアノクラスに出場する高校生男子を連れて来てくださった先生とここでバトンタッチをし、フルート・デュエットクラスに出場する2人の女子生徒を残し、他の3人の生徒と帰路につきました。
2便の生徒たちが学校に戻って来たのは夜の8時を過ぎた頃。
「どうだったかな?デュエットクラスの結果は?」
「メダルもらいましたよ!! ピアノの◯◯君もメダルです!」
その嬉しそうな笑顔を見ていると、まだまだこれから上手になりそうな気がしてきました。
皆さん、今日は本当にお疲れ様でした。