この10日間のプログラムは将来の進路を決める上でとても大切な役割を果たしました。
私は、英国大学への進学を検討していました。しかし、立教英国学院という日本人の小さな国の中で7年過ごしてきた私は、外の世界がどのような物か知らず、経験もせずに海外大学へ進学することを懸念していました。また、明確な理由、日本の大学ではダメな理由を探し求めてもいました。漠然とした理由では、家族や周囲を説得することが難しく、また自分自身の進路に自信が持てないため、より具体的な根拠を求めていました。しっかりとした大義を掲げて進学するべきだ、そう思っていました。そう考えている内に、このUCLジャパンユースチャレンジの機会と巡り会いました。実際に講義を体験できること・参加者の約半分が英国人であることは私の将来の選択を決める上でぴったりだと思い、参加を決意しました。プログラムが始まるまでは、過去の参加者の話を聞いたり、相談したりして、情報収集をしましたがどのような様子なのか見当もつかず、緊張と不安を抱えながらただその時を待つのみでした。
プログラムが始まって最初の方は正直、自分のコンフォートゾーン外でした。今まで過ごしてきた人とは違う価値観を持つ人達や、全く異なるバックグラウンドを持っている人達と同じ空間で過ごすということは、たとえ相手が何も気にしていなくても自分にとって過ごしやすい環境ではありませんでした。学生生活のほぼ全てを立教英国学院で過ごした私が感じたのは、「自分が動ける範囲の狭さ」でした。学校では常に知っている人、新しい人でも大体が同じ価値観を持ち合わせながら生活をしていたので、自分の視野の狭さを痛感した瞬間でもありました。しかしながら同時に、「自分の動ける範囲」を更に広げられるチャンスだと思いました。従って私は、このプログラムでたくさんの人と話し、人との繋がりを増やす事で、自分自身のコンフォートゾーンを拡大しようと考えました。
それを意識して生活してからの時間の流れはとてもはやく感じました。無理矢理にでも講義で質問することが一般であるイギリス人の慣習に適応することはとても苦戦しました。何故なら私は授業中や発表に対して質問をした経験が無かったからです。しかも、私がした質問はもしかしたらすでに講義内で触れられているかもしれず、言語的な壁によって質問の意図が相手に伝わらないかもしれません。しかしながら私はどれだけくだらない質問でも、各講義で1度は質問をするように努力をしました。そうした努力の中で向上したのは、質問スキルと相手の話を聞く力です。これらの能力は講義だけで無く、インターナショナルグループでのディスカッションでも大きく貢献しました。質問に対する反応の速度と、相手の話を聞く力はイギリス人には母国語でも勝てない、と感じていましたが、講義やグループワークで質問をしていく中で、だんだんと何が言いたいのか分かるようになり、加えて日本人がおいていかれがちなグループワークにも必死ながら参加することが出来るようになったのです。多様な文化背景を持つ人々との交流を通じて、英国大学が提供する国際的な教育環境こそが、私の将来のキャリアに最も適していると確信した瞬間でもありました。
私は環境が違っても自分が環境の基準に合わせて努力することで、自分の能力を拡大し、最大化することが出来るようになりました。これは私にとっては、これまでに無いほどの重要な機会でした。特に、積極的に質問をすることで得たスキル、他者とのディスカッションを通じて培った聞く力は、英国大学での学びに必要不可欠だと考えています。この経験を通じて、英国大学が私に最適な学びの環境であると確信し、進学を固く決意する機会となりました。最後に、立教英国学院という小さな学校の中には、ここまで大きな事を知ることの出来る機会を提供していることや、チャンスをつかむことが出来る素晴らしい学校であることを、再実感できる、素晴らしい機会でした。
(高等部3年男子)