高校1年生にとってアウティングのメインイベントは、昼のUCLロンドン大学見学と、夜のミュージカル「キンキーブーツ」鑑賞であった。UCLとはUniversity College Londonの略であり、世界有数の名門大学である。UCL見学は本校がUCLのファウンデーションコースと提携を結んでいるため、高校1年生のうちに将来の選択肢の1つとしてUCLについて知ろう、という趣旨である。
「キンキーブーツ」は歌唱力があって元気な高校1年生に合いそうなミュージカル、ということで今回観ることになった。
昼のメインイベントのUCL見学では、大学の大沼教授が近代日本とUCLの関係を詳しく話して下さった。伊藤博文を始めとする多くの人々がUCLで勉強し、多くの刺激を受け、政治、教育、産業、と様々な分野で日本の近代化に貢献したわけである。その中で非常に印象的な言葉があった。
「当時、外国に出て行った皆と同じくらいの年齢の武士達は、とても大人びていてしっかりしていたらしい。外国に行っても物怖じせず堂々と接していたらしいよ。」
当時、日本を離れて外国に行くという選択をした勇気は計り知れない。今でも海外に出て行くことは、けっして簡単なことでは無いが、19世紀終わりに比べたら大したことでは無いはずだ。当時の十代に負けないように、恵まれた環境でしっかり勉強して立派な大人になりたいものである。UCLでの講義でモチベーションを高めた生徒も多くいることだろう。
さて、夜は少し雰囲気を変えてミュージカル「キンキーブーツ」へ。迫力満点の歌とダンスに魅入られて、楽しいひとときを過ごした。このストーリーでは人生・家族・仲間・ジェンダー・恋愛・友情、と様々なテーマが描かれており、舞台は思わず元気になってしまうような、迫力溢れるハッピーが爆発したようなものであった。ミュージカルが初めてという人もそうでない人も一緒に手をたたいたり踊ったりして過ごし、最後は拍手喝采のスタンディグオベーションで終了した。笑いが溢れる中に名言も多いこのミュージカル、登場人物の台詞から何か人生のヒントを得た人もいたのではないかと思う。
大学見学とミュージカル。全く異なるイベントだったが、個性豊かな人々の生き様に触れた点が意外にも共通していたように思う。アウティングで膨れ上がった壮大な気持ちを、日々の努力の積み重ねに替えて、残りの3学期の日々を頑張って過ごしてもらいたい。