僕が真面目に音楽を始めたのは、この学校に転入して一年後だった。その時は40周年記念コンサートのことなど全く考えていなかった。ただ、35周年記念の映像を見たときに、演奏者は一体どのような気持ちで演奏しているのだろうと思ったことはあった。
あれから僕はギターを彼此5年半続けている。今までに、スクールコンサートやギターフェスティバルに参加したことはあったが、毎回物足りなさを感じた。しかし、それが何かは全く解らなかった。
40周年のコンサートホールは歴史ある立派なホールで、演奏する前はどのように音が響くか想像できなかった。
リハーサルの時、少々緊張しつつステージの上に座った。そしていざ弾いてみた時、ホール全体に音が響き渡った。ギターを演奏すると同時に、自分の耳に反響音が入ってくるので、プロのホールの格別さをとても実感した。
コンサートホールがその曲の世界に入ってゆく雰囲気はとても好きだった。メジャースケールを弾くと楽しい世界が作り出され、マイナースケールを弾くと少々ヒステリックな世界が作り出される雰囲気は一生に一度の感覚だなと思う。多分、これが今までギターを弾いていて求めていたものなのかなと思う。ただ、これはこのような歴史あるコンサートホールで、ホール内の独特の雰囲気がないと成り立たない不思議な感覚だと僕は思う。だからこそ貴重な体験となった。
(高等部3年 男子)