「初めて生徒を愛したよ。」そんな感動的な、元担任の先生の言葉で私の短いようで短かった中学校生活は幕を閉じた。
春休みに入り、クラスメイトと会わなくなると、あのキラキラで充実した毎日は夢だったのではないかと、何度も友達の写った写真を見返していた。
そんな未練タラタラの私には、4月から高校生になる事実よりも、友達とクラスが離れる、担任の先生や教室が変わってしまうなどという事に悲しさを覚えていた。
いわゆる、元メンである私は何もかもがピカピカな一年生な訳ではなく、友達も環境も制服も中学生の時とは変わっていない。ただ、新しくおろしたワイシャツの硬さだけが新学年であることを教えてくれた。
学校に到着し、新しい教室に入るとそこには、まるでピン!と音がなっているように感じられる程、激しい緊張感があった。新しい先生、周囲に座る知らないクラスメイト、やけに縦に長い教室。全てに非日常感を感じ、これが日常と化するまでには相当な時間がかかることがわかった。この作文を書いている今も尚、前後左右に違和感を感じていて見渡す限り名前のわからない同級生が私と同じようにパソコンを叩いている事実は受け止め難い。
去年まで過ごしていたM3の雰囲気がどんなに暮らしやすいものだったのか、改めて実感するが、どんなにあの空間を恋しく思ってもそれが戻ってこない現実はどうにも変えられず、残る選択肢はこの異空間に慣れる、のみである。
「華のJK」、日本にはそんな言葉があるが今の私はその言葉からは到底離れた場所にいる。友達の作り方なんて教わったことなんてなく、今までも工程など、考えずできていたはずだ。習うより慣れろ、これが通じないのは私にとって初めての出来事で危機感や困惑などが何度も私のところへ押し寄せた。こう悩んでいるのは私だけでは無い様で、私以外の元メンも同じような悩みを抱えていることを知った。元メンの有利な点、これは今まで何回も聞いてきたし感じたことも多々あるが、今はハンディキャップのほうが目立っている。元メンで盛り上がることで寂しさを埋めている私は果たして正解の方に向かっているのか。そんな不安が日に日に膨らんでいる。
人生の変わり目とはこのことだろうか。この大きく立ちはだかる壁を乗り越えた先に華のJKは待っているのか、今こそ自立するべきだと自分に言い聞かせながら現実の難しさを知る日々である。
(高等部1年 女子)