ミュージカル

ミュージカル

正直、ミュージカルが「ジェイミー」という作品に決まったと聞いたとき、私は落胆しました。どうせなら日本でいる劇団四季の「ウィキッド」や、帝国劇場での「レ・ミゼラブル」、それにイギリスで人気の「マチルダ」や「メリーポピンズ」がいいと期待していたのに、決まった劇は観たこともなく、名前も一度も聞いたことのないものだったからです。あらすじはどことなく「ビリー・エリオット」に似ていて、それなら「ビリー・エリオット」の方を観たかったなあ、と思っていました。
最高でした。「ジェイミー」という作品は。演技や歌はもちろんのこと、道具や背景の使い方も上手く、立ち位置や音などの細かなところまで力を抜かずに巧みに表現されていて。特に彼、主人公の人(ジェイミー)。きっと血の滲むような努力をしてきたのでしょう。雰囲気が洗練されていて、その人が喋る前から、こちらを振り向く前から、ただ座っているという演技だけで、ああ、この人が主人公か、と分からされました。
私は以前、ミュージカル女優を目指していたことがあります。しかし始めて1年後、私には無理だと諦めて舞台演出家を目指したこともありました。その夢ももう諦めてしまいましたが。きっと、誰に何を言われても折れない意志の強さを持つものが、あのステージの上でまぶしいスポットライトを浴びることができるのだと思います。私には今、舞台女優や演出家とは別の夢があります。相変わらず自分に自信がなく、私には無理だ、なんておもったりもしますが諦めずにその夢を追い続けようと思わされました。誰に何を言われても折れない強い意志で。
(高等部1年生 女子)