新たな想い

新たな想い

私はこの四月で高校三年生になった。二ヶ月後には十八歳、急に背筋が伸びる思いがする。そんな今、世界はコロナウイルスの影響により大きな恐怖と不安を経験している。でも、報道されるのは悪いニュースばかりではない。英国での生活を始めた頃から、私の中には日本と世界を繋ぐような人になりたいという漠然とした想いがあった。憧れにも近かったこの想いが、今の混乱した世界で最前線で働き活躍している人々の姿を見て夢に変わった。日本だけでなく世界の人々の役に立ち、「変化 」を自分で生み出していけるような人になりたいという夢に。

私は英語の勉強が好きだ。英語を通してイギリスの人だけではなくヨーロッパやアジアの人とも意思疎通ができる。短期留学などの経験を通してイギリスでたくさんの友達ができた。世界が大きく広がった。私たちは一人一人違うバックグラウンドを持っている。もちろん英語を話せることは大切だ。でも彼らとの会話の中で、相手を知ろうとすることも同じくらい重要だということに気づいた。違う国で生まれ違う文化の中で生きてきたのだから、価値観や物の考え方が異なるのは自然なことだ。同じものを見ていても捉え方は全く異なるかもしれない。だからこそ、知る必要がある。知識として私たちの背景にある文化や宗教、様々な違いを学ぶことが、「相手に見えている世界」を想像するための力になると思う。

相手の立場に立って考えることの大切さ、これは立教英国での生活が教えてくれたことでもある。二年前の四月、私はこれから始まる新しい生活に緊張と不安でいっぱいだった。そんな私に、優しく話しかけてくれた赤ネクタイの先輩たち。一気に緊張がほぐれたのを覚えている。みんな一度経験しているからこそ、新入生の気持ちがわかる。だから、今度は自分が緊張をほどいてあげる番だ。先輩や同級生があの時緊張した私に笑顔で話しかけてくれたように。

明日の世界がどうなるかはわからない。でも、こんな状況でも花は咲く。家の前の樹々は春の始まりとともに色とりどりの花をつけ始めた。まるで大きな不安に包み込まれた私たちを鼓舞してくれているようだった。自分で道を切り開いていけるような人になりたい。そのために、今自分に出来る事をしよう。雲一つない青空の下、美しくそして力強く咲く花たちに背中を押され、新たな気持ちで頑張ろうと思った。

(高等部3年生 女子)