「最後」

「最後」

あー、もう最後のアウティングだ、そう誰かの呟き声が耳に入ってきた。私は耳を疑った。正直まだ信じることができなかった。「最後」という言葉が引っかかったのだ。1年前から覚悟はしていた。これから行うすべての行事がもう「最後」なのだと。オープンデイのクラス企画、合唱コンクール、球技大会... 一つ一つ終わっ…
「満たされる」

「満たされる」

高3最後のアウティングは綺麗な晴れ空で風が少し肌寒い。ロンドン・アイに乗り込んで徐々に地面が遠くなる。もう何回目だろうか、そんなことを考えていた。皆がはしゃいでいる。なんだか子供みたいだった。それは私も含めて。2組だけとは言え、皆でどこかへ行くのも最後なのだと思うと少し寂しい。立教英国という特別な環…
『晩禱』

『晩禱』

チャペルに入ると、壁一面に色鮮やかなステンドグラスが広がっていた。 高い天井に沢山の柱や像、今まで見たことのある教会とは桁違いのスケールだ。 今回のアウティングの行き先はケンブリッジだった。 ガイドツアーや買い物など色々楽しみはあったが、特に印象に残ったのはチャペルでの晩禱だ。 キン…
ケンブリッジ大学サイエンスワークショップ

ケンブリッジ大学サイエンスワークショップ

この夏僕は、二つのサイエンスワークショップに参加した。それによってこの夏は学びの多いものになった。その内の一つがケンブリッジ大学でのものだ。 期待と不安を抱きながら日本から参加する生徒が来るのを待った。その夜の自己紹介は、予想通りでありながらも、衝撃的であった。五つの目がある化石が好きという人…
夏の終わり

夏の終わり

夏休みが終わる直前、僕は模試を受けた。夏やってきたことを全て出すべき場であった。だから、僕は相当な気合いを入れていた。しかし結果は最悪。 僕は夏、もし勉強していたかと聞かれたら、した、と十分答えられるくらい勉強した。僕には夏の勉強に関すること全てを記録したノートがある。きちんと計算したことはな…
帰る場所

帰る場所

iPhoneを使えない。恋愛禁止に近い妙なルールがある。外出の機会はほとんどなく、ロンドンに行くことが出来るのは学期に一度だけ。先生と四六時中過ごさなければならないし、プライベートとは無縁に近い... 時折こうして立教英国学院のことを日本の友達に話す。皆初めは普通とかけ離れたこの学校に興味を示すが…
高校3年生、2学期を迎えた今

高校3年生、2学期を迎えた今

日本より少し肌寒い。空港から学校に着きバスから降りると、先に着いた生徒が夕食を食べている。そして周りを見渡すと、自然豊かな美しい緑が広がっている。こんな環境の中での「大家族」生活も、高校3年生にとっては今学期で最後だ。そう思うと、立教での生活は、とても早く感じた。 立教では、オープンデイや、球…
特別な夏休み

特別な夏休み

私がすでに日本に帰る頃には夏休み、残り1ヶ月。空港についた瞬間に日本の夏特有のあの熱気が私の頰を撫でた。みんな勉強してるし、私もやらなきゃなぁ、なんて思いながらも自分の家に帰った喜びで、つい色々な誘惑に負けそうになる。それに日本の夏は暑いったらありゃしない。こんなんで集中できるか、と何とかして勉強が…
ふと、思う。

ふと、思う。

夏。28度、いや、それ以上かも分からない。とにかく暑い。イギリスなのに。そんな愚痴を吐く。朝からしていた勉強も集中が切れてしまった。一休みと団扇片手に空を眺めた。ふと気付く。そういえばイギリスで過ごす夏はこれが最後なのだと。あぁ、もう4年目になっていたのか。 特に立教の3年間は早かった。高校1…
与えられたもの

与えられたもの

ふと目線を上げ、見慣れた白い文字盤をぼんやりとした意識の中確認する。時刻は午後11時40分。いつからだろうか、一日が終わる度に、「あぁ、また終わってしまう。」と感じるようになったのは。 この頃、誰もが知識としては持っているであろうごくごく普通のことに、実感とともに気付きつつある。自らを取り囲む…