お先真っ暗受験デイズ

お先真っ暗受験デイズ

虚無感。僕の高校最後の、高校3年生としての夏休みを振り返るなら、この一言に尽きる。 受験生の夏休みは天王山と呼ばれている。もちろん僕は夏休みの間、天王山を登っていた。いや、登っていたつもりだったかもしれない。なぜならいくら登っても登ってもまったく山頂が見えてこなかったのだ。そうして時間が過ぎて…
久しぶりのロンドン

久しぶりのロンドン

 サイエンスワークショップに参加する私を含めた四人は、リンネ学会、王立研究所、梶田先生の特別講演に訪れるべくロンドンに外出しました。  リンネ学会とは、スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネに由来し、現存する世界で最も古い博物学の協会です。「自然選択説による進化論」は、リンネ協会の会合で初め…
「イタダキ」

「イタダキ」

 僕の前には多分、今まで生きてきた中で打ち当たった一番高い壁'高校受験'が、その太い胴体を堂々とかまえて聳え立っている。どれ程の高さなのかなど、見当もつかない。その高さ、険しさに圧倒されて一歩後ずさりしながら考えた。  僕の正面には、地底から山を貫いて空に打ちつけられたくぎのような岩が見える。…
貴重な体験

貴重な体験

七月四日、僕たちはノーベル物理学賞を授与された梶田先生の話をロンドン日本大使館で聞きました。ただその日に話を聞くだけでは話の内容が良くわからないと思い、僕たちは梶田さんがノーベル物理学賞を授与されたスーパーカミオカンデとニュートリノについて調べることにしました。 正直に言って調べる前はどうせ話が難…
「泡沫の美」

「泡沫の美」

 毒々しいくらいの真紅に染まり、剥き出しになった「ソレ」を前に、私は心を奪われていた。  「ドン。」  大きな爆発音。ようやく我に返り視線を上げる。そこには絶えることなくつぎつぎと夜空に咲き乱れる満開の花々。咲いては散り行きそして一瞬にして全てを出しきる。微かな火薬の匂いと共に今年も美しく、盛大…
「命の大切さ」

「命の大切さ」

 学校から帰ってきて日本に戻ると、家で待っていたのは段ボールに入った大量のうずらの卵だった。  聞くと妹がテレビか何かの紹介を見て、今年の自由研究はうずらの卵の観察にしたらしい。そういえば自由研究なんてものもあったなと懐かしく思うと同時に、本当に成功するのだろうかと不安にもなった。  卵はス…
リンネ学会のすごさ

リンネ学会のすごさ

僕たち高校2年の4人は岡野先生の引率でリンネ学会を訪れました。入り口には最近よく会う立教大学の庄司先生が待っていました。 リンネ学会の一階ではダーウィンについての話などを聞きました。その話の中にはリンネ学会に飾ってあるダーウィンの絵がオリジナルで、美術館に飾ってあるものはコピーだ、というような衝撃…
〈サイエンスワークショップ Briefing Weekend〉新しい友人

〈サイエンスワークショップ Briefing Weekend〉新しい友人

 私はこの補習が始まってから多くの英国人の友人を作りました。その友人達との出会いは、7月の8〜10日に立教で行われたBriefing Weekendというワークショップでです。これは、名古屋大学と東北大学のサイエンスワークショップに参加する英国の子達が、事前に立教で日本の文化やマナーなどを学ぶ二泊三…
さまざまな人々–梶田先生のお話を通して

さまざまな人々–梶田先生のお話を通して

日本大使館で僕たちはノーベル物理学賞を受賞した梶田先生のお話を聞いた。 会場はおしゃれな雰囲気で、そこにいる人たちもそれぞれの分野で活躍中の人に見えた。特に研究職の人が多く見られた。僕たちは前日にニュートリノについて調べ、できる限りの準備をしていた。それでもやはり、梶田先生が目の前で話し始める…
『イギリスに住む自分』

『イギリスに住む自分』

 一学期も無事に終わり、二ヶ月もある長い夏休みが始まった。あと数日で八月となるが、そんな中僕は母と弟二人の四人で日本に帰った。  僕はイギリスに来るということで、まず「英語」にたくさん触れて、少しでも英語を上達させようと決めていた。これは英語圏の国に住むということになった人なら誰でも思う事であ…