暇から生まれる新しい可能性

暇から生まれる新しい可能性
「暇。」
 休み中、僕はふっと思う事がある。本当は数えきれないほどやる事はある。しかも僕はこの休みがあければ高校生。勉強だって予習するべき、実力テストのための勉強もしなければならない。そんな中、ベッドに飛び込み、ふっと思う。
 「暇。」
 僕は、よく「時間を大切に。」と、親に言われる。やっと最近その言葉の意味を理解できるようになった。だが、体は前と同じ。だからか分からないが、
 「暇。」
と、いう時間によく思う。この時間は本当に無駄な時間なんだな。今この時間を使えば何ができるだろう。英単語何個、漢熟語何個、数学の問題何問、ベースも弾ける。などなどそんな風に。
 だが、このままじゃダメだ。と思いどうしたら体を慣らす事だできるかを考えた。もちろん、体を起こして好きな事をやる。もちろんそれもいいと思い、実践した。しかし、結果は振り出し。好きな事だけやって帰ってきてしまった。僕は考えた。そこに母の姿が見えた。縫い物をする母の姿。僕はこれだと思った。
 僕は縫い物は嫌いだった。地味で細かくて疲れそうで。だが、新しい事をする事でまた何か世界が広がる気がした。そして何よりもベッドにいる時間を減らせる気がした。
 そんなこんなで縫い物を始めて、二週間。僕は先輩の誕生日に自分で縫った物をプレゼントとしてあげられるまで上達した。嫌いな事を熱心にやる事でこんなにも楽しい思いになれる。そんなことを学んだ春休みだった。
(高等部1年生 男子)