「バシッ」
先輩のサーブがきれいに決まった。「あと1点で25点」と勝利を祈った。ピンクがカットした次の瞬間に勝敗が決まった。ピンクのミスで、水色に1点が入ったのだ。水色が勝ったのだ。
球技大会の競技の希望用紙に、第一希望としてドッジボールに印をつけた。でも人数制限のためバレーになったのだ。それから私のバレーに熱中する毎日が始まった。
練習の初日、パスの練習をしてまず驚いたことがあった。それは、ボールが硬いということだ。硬すぎてびっくりした。以前の学校で体育の授業時に一度バレーを行った。そのときのボールはもっとやわらかかったはずなのに……。痛くてまともにパスの練習ができなかった。その翌日、ボールを打った腕はあざだらけだった。
次の日もそして次の日も練習は続いた。痛くてまともにバレーができない日もあった。でも練習は楽しくて、嫌と思った日は一日もなかった。一番苦戦したのはサーブの練習だ。練習では入ったとしても、練習試合になると大抵入ることはない。失敗するととっても落ち込んだ。出来ない自分が嫌になることもあった。そんな辛い時に、優しく声をかけてくれたのは先輩方だった。いつもにこやかに、そして丁寧にバレーについて教えてくれた。私はそんな素敵な先輩方が大好きだった。
そして迎えた球技大会本番。午前の全体競技が終わり、いよいよバレーの試合が始まった。私たち水色は緊張していたのか、今までできた良いプレーができずにいた。笑顔もなかった。最後まで頑張ったが、二セットとも負けてしまった。試合中、悔しくて涙が滲んだ時もあった。落ち込む私たちに、
「大丈夫、午後があるから!」
そう高校三年生の先輩の一人が言って下さった。その声を聞いて、「そうだ!今は落ち込んでいる場合じゃないんだ。」と気持ちを改めることができた。
いよいよ午後の試合時間がやってきた。体もウォーミングアップで暖まったし、テンションも午前のどんよりとした雰囲気を覆すくらい、高まっていた。みんな燃えていた。一セット目、見事に勝利。続いて二セット目はかなり苦戦した試合だった。あと一点で水色の勝利になるとき、水色団長の丸山先輩が、
「楽しんで、そして落ち着いてね!」
と応援して下さった。最後の瞬間は、本当に楽しむことができた。点が入った時、水色全員で泣きながら喜んだ。バレーを球技大会でできて良かったと心から思うことができた。また、これからバレー部に入り、好きになったバレーを頑張ろうと心に決めた。そして、来年の球技大会では憧れの先輩のように輝きたい。
(中学部3年生 女子)