「絶対勝つぞ!」「おー!」
同じTシャツを着た五人は円陣を組み、気合を入れる。数十秒後に始まる試合にどきどきしながら、作戦の最終確認をし、細かく足でステップをして、軽くウォーミングアップをした。そして、ブザーと同時にバスケットボールはジャッジの手を離れ、私たちの頭上に上がり、私たちは一斉に動き始めた。私が鮮明に思い出せるのはここまでだ。試合が始まってからのことは、あまり覚えていない。無我夢中だった。
私は今年の球技大会でバスケットボールを選択した。高2のとしての球技大会は今までとは少し違った。今までのように先輩の言う通りに練習しているだけではいけなかった。最高学年を支える学年として、練習メニュー、Tシャツのデザインの相談や決定、後輩に技術を教えることも必要だった。それは大変なことであり、責任の重いことであった。自分は絶対にミスをしてはいけないという緊張感が、練習のときからあった。もちろん、人間にそんなことができるはずがなかったが、私がミスをしてしまったときには先輩が優しく声をかけてくれた。
球技大会は全学年が協力して優勝を目指す大イベントの一つ。協力し合って成り立っているイベントであり、私はそこが大好きだ。試合では、結果的に数点差で私たちのチームが負けてしまった。とても悔しかった。もし、私が打ったシュートが入っていれば同点で抑えられたかもしれないという思いが頭から離れなかった。しかし試合後、同じチームの先輩が私のところに来て、「本当に楽しかった!ありがとう!」と笑顔で声をかけてくれた。その瞬間、私の中のモヤモヤはどこかに消えた。勝敗が関係ない、とは言わないが、今回はそれよりも大事なことがたくさんあったのだ。仲間と協力し合い、声をかけ合い、支えあうこと。仲間が失敗したときには責めるのではなくて、次に生かし、自分もそこから学ぶこと。自分のミスに優しく声をかけてくれる仲間に感謝すること。そして、何よりも笑顔で楽しむこと。
たった二週間という短い期間でこんなにもたくさんの大切なことに気づかせてくれた後輩、先輩に感謝の気持ちでいっぱいである。来年は最高学年として、後輩たちに大切なことに気づいてもらえるように、さらに頑張っていきたい。
(高等部2年生 女子)