今回のウィンブルドンは、待ち時間に雨が降ったり止んだりで、初めはそんなに楽しみにしていなかった。私が知っているような有名な選手は全部センターコートで試合が行われていて、ウィンブルドンまで行っても結局モニターで見るのか……と思って、全然期待できなかった。
だから、端の方の小さなコートではなくて、選手の練習コートなら有名な選手を見ることができる!と期待し、サインをもらう用の少し大きめのボールを買って、強い日差しの中、選手村のフェンスに張り付いていた。途中、いろいろと食べたり、お土産を買いに行ったりしたが、たぶん入場待ちの列に並んだ時間の次に、フェンスに張り付いていた時間が長かったと思う。結局サインは8人ぐらいの選手からもらえた。よく知らない選手ばかりだったが、周りの人のざわめき具合に、どさくさに紛れてボールを差し出した。
選手村への通路は人通りが激しいわけでもなく、選手が通ることさえ稀なのに、あまり有名でない選手の時は誰も何も言わない。私は少し心が痛くなった。テニスにそんなに詳しいわけではないが、ウィンブルドンで試合ができるなんで、山ほどいるテニスプレーヤーの中でほんの一握りしかいないと思う。その中に入ることができたって、お客さんには名前も呼ばれず、私の後ろの方にいた親子が、あの人誰?などと言ってるのが聞こえてくるほどだ。みんなが見たいのは錦織やジョコビッチなんだ…と私なら、モチベーションを高く持ち続けられない。スポーツ選手は、スポーツのスキル以上に強い精神力が必要だ。昔、誰かが言っていたその言葉を、私は今日肌で痛感した。
(高等部2年 女子)