ウィンブルドン初日、曇り時々雨。そんな中私達は、午前4時半に起床、朝7時から列に並んでいた。自分のいる位置から見えるのは、人、人、とにかく人。ものすごい数の人が並んでいた。この並んでいる人たち全員テニス好きで、今日を楽しみに来ているのかなぁ、なんて他人事を考えながら、淡々とただ時間が過ぎるのを待った。正直、私は今井君のようにテニスが大好き!という訳でもないので、イチゴ食べに行くかーくらいにしか思っていなかった。
やっと中に入れたと思ったら、そこも人だらけ。凄まじい数だった。他の人達がウィンブルドンに興奮している中、イチゴに大喜びしていた私はどのように映っただろうか。だけどさすがに少しは試合を見よう、と皆で話して決めた。選手の名前が出ているボードを見ても誰がどんな人かもわからなかったので、近くの人のを見ることにした。その試合は衝撃だった。テニス経験が全くない私でもわかる選手の上手さ。自由自在にボールを打っていて、まるで魔法がかかってるみたいだった。そして何より、観客の熱気。最初はみんな耳鳴りがするほど静かなのに、選手が点を決めた瞬間歓声が湧き上がる。それに穴が開くほど選手を見つめ、一瞬でもボールの動きを見逃すまいとボールを追いかけ首を動かしている。とにかく圧倒的だった。これがウィンブルドンか。私は今までここに何をしに来てたんだ、と思うくらい目の前の光景は私を魅了した。試合が終わって、歩いている時もあちらこちらで歓声が聞こえてきて、ウィンブルドンの雰囲気を楽しむことができた。
最後のウィンブルドン、私なりに充実した時間を過ごせたと思う。思い出がイチゴだけでなくて本当に良かった。あんなに素敵な思いができて嬉しい。大人になって来れるか分からないけど、また来たい。朝4時半に起きる価値があった。そんな風に思わせてくれた1日だった。
高3になってまた一つ行事が終わった。少し悲しいけど、またちょっと成長できたと思うと前向きになれる。勉強はこれから大変になっていくけれど、前向きな気持ちとウィンブルドンでもらった元気で頑張っていきたい。
(高等部3年生 女子)