「ピッ」始まりの合図と共に宙に舞いあがったボール。みんなの視線が一気にそこに集中した。
昨年に引き続き、2回目のポートボール。けれど、昨年とは1つ違うことがある。新入生としてではなく、在校生としての球技大会なのだ。先輩から教えてもらうのではなくて、自分が教える。そう思うと、なんだかちょっとうれしかった。
初日の練習は、自己紹介で始まった。その次にちょっとしたボール慣れ。そして、最後に雑談だ。雑談をすることで一気に仲を深めて、初日の練習は終わる。雑談が結構楽しくて20分ほど話していた。そのおかげで、新入生のことをよく知ることができたと思う。
次の日の練習は、相手の名前を呼んでパスする練習をした。この練習は、みんなの名前をおぼえるためのものでもある。最初は、名前をきいてパスしていたが、途中からはみんな名前をきかないでパスできるようになっていた。
それからの練習は、チームに分けておこなう事になった。ドリブル練とパス練をして、雑談。これは、自分のチームの人と仲を深めるためのものである。これでもう、完璧に仲が良くなったといえるようになっただろう。
その後は、チーム対抗の練習試合をしたり、パス練・ドリブル練をしながら作戦を立てたりした。そのようにして仲を深めながらの練習を毎日していくうちに時間はどんどん過ぎていき、ついには前夜祭になっていた。前夜祭では一人一人の名前を呼ばれてTシャツを渡された。最後に、みんな片手にTシャツを握りしめ、円陣を組んでかけ声をかけ、前夜祭は終わった。
「ピッ」始まりの合図と共に宙に舞いあがったボール。みんなの視線が一気にそこに集中した。試合開始だ。午前の部での試合。前半は、勢いをつけて点数をたくさんとった。が、後半は相手にまさかの逆転をされてしまい、敗北。その後、午後の試合にむけて作戦を練り直した。その作戦は、午前の部とは違い、私がゴールをすることになった。ボールを受け取れるか不安な気持ちを残したまま時間は過ぎていき、午後の部に。あっという間に試合は始まり、私は椅子の上に立ってボールを待っていた。すると、私の名前を呼ぶ声と一緒にボールが飛んできた。気づいたら、先輩からの力強いボールを手に持っていた。ボールを受け取ることができた時のうれしさ、それは昨年に味わうことのなかったものだった。私はその時に、今まで知らなかった試合での別のうれしさを知ることができた。結果は負けだったけれど、この試合から素敵なプレゼントをもらったので、良い試合だったと思う。
人によって、このうれしさを感じる時は違うと思うけれど、きっと誰だってこのうれしさを感じる時は来る。その時が、その事にハマる瞬間じゃないだろうか。
(中学部2年生 女子)