待ちに待った春休みのアイスランド旅行。まだ冬の寒さが残っているにもかかわらず、手袋を家に置いて飛行機に乗り込んでしまうくらいに浮かれていた。
手を氷点下を超える春の風にさらしながら最初に見たものは「グトルフォス」と呼ばれている滝だ。この滝の最大落差は約30メートル、幅は約70メートルもあり、アイスランド語で「黄金の滝」と名付けられている観光名所の1つだ。
滝と数百メートル離れた場所にいても聞こえてくる凄まじい水の落ちる音。いつも当たり前に飲んでいる水の音とは思えなかった。
次の目的地は、車での移動中に突如、自分の目に映り込んできた。映り込んできたのは水。だが、滝とは違い下から上。高さは目測20メートルほどに見えた。この「ゲイシール」と言う間欠泉は時々、100度もある熱湯を30メートルの高さまで持ち上げる。この様は力強く、観光名所のはずだけれど周りに人を近づかせない迫力があった。
観光後、宿に着く頃ときにはもう夜の10時を軽く過ぎていた。旅行の最後に目についたものはアイスランドの夜空に瞬くの星々だった。月明かりに照らされた春雪が星々のようにも見え、あまりにも幻想的な光景を目のあたりにして、その間に立ち尽くした。家族に声をかけられ我に返り、空いていた距離を縮めるため、走って宿に向かっていった。その時にはもう冷え切っていた体のことなど忘れていた。
(高等部2年生 男子)