今、球技大会。ソフトボール2試合目。我らのチームを勝たせるために「4点差」をつけて相手チームに勝たないといけない。だが、今は、2回裏のノーカウント、0対6と我がチームは負けていて劣勢である。先輩ピッチャーはなかなかストライクが入らなくて、リーダーが「ピッチャー交代!」と言って、キャッチャーである私を指名したのである。その瞬間背筋に寒気が走った。先輩リーダーは私がピッチャーに交代した時に、
「深呼吸だぞ、緊張するな。」
と声をかけてくれて、3回目裏がまた始まった。8打席の人を前に私はボールを投げた。ボールはバットに素早くあたり、ものすごい速さで上にあがっていった。とっさにフライを捕る練習をしていたのが脳裏に浮かんだ。その練習通りに動いてみたら見事キャッチできた。そこで、怖いリーダーがノックの練習やフライの練習をしていて、
「一つ一つの練習は試合では1パーセントしか使わない。けど、その1パーセントで試合は大きく変わるから練習も頑張ってくれ。」
と言っていたのを思い出して、本当に意味があったんだな、と思い返した。そしてファーストベースにボールを投げたら見事2アウトをとることができた。
その後は自信はついたものの、2アウトから「8点」も取られてしまった。ぼくは「8点」は自分がそこで気を抜いたからだと思いプレッシャーで押し潰されそうだった。けれどミントチームのみんなが「励まし」の言葉をかけてくれて嬉しかった。
結局は負けてしまったが、私はこの試合で、人の優しい心を見つけた。怖い先輩リーダーも愛情を持った練習の怖さだと思った。
(中学部1年生 男子)