私は昔からあまりミュージカルとは縁がなかった。なぜ普通に喋らずに歌うのだろうと思ったことすらある。今回のアウティングで、その考えが180度変わった。
私達はレ・ミゼラブルを観に行った。少し前に映画を観たことはあったが、途中で断念していた。前日に友人ともう一度見た時、私はエポニーヌと出会った。彼女はとても切ない役で、自分が好きな人が一目惚れをした相手の家をさがしたり、彼のためなら男に扮して革命にまで参加したのだ。私はエポニーヌが大好きになった。エポニーヌのそのひたむきな愛とそれでも彼のために想いを伝えず、支えていく信念。死に際に彼がこうしてそばにいてくれるだけでいいわ、という姿…。映画でも心を打たれたが、ミュージカルだったらなおさらだった。
死に際のシーンを見ている時、エポニーヌの辛さや彼に対する愛が私の中にまで入り込んでいて、気が付いたら涙があふれていた。私はこのとき、歌だからこそ彼女の気持ちを感じられたのかなと思った。きっと、言葉だけでは伝えきれない気持ちの高ぶりをあらわすために、ミュージカルはあるのだろう。レ・ミゼラブルの主役はエポニーヌではない。あくまでもエポニーヌが脇役なのは知っているが、私の中では絶対にエポニーヌが主役だ。エポニーヌのように、信念をまっすぐに持った、すてきな女性になりたい、と思った。
(高等部2年生 女子)