待ちに待ったウィンブルドン。芝生で二時間ほど並んで競技場に入ると、私たちはまず対戦表に目を向けた。お目当てはもちろん錦織圭。しかし、彼の試合はナンバーワンコートで、私たちの所持していた金額では入ることができなかった。私たちの班のメンバーは皆、錦織選手を目当てにしていたのにコートに入れないというのはとてもショックだった。試合を見たいという思いを捨て切れなかった私たちはナンバーワンコートから離れられずにいた。そこで、階段の下でジャンプをしてみたり何とかして一目でも錦織選手を見ようと頑張っていた。そんなとき、私たちの熱い思いが伝わったのか、
「Come here」
と優しそうな警備のおじさんが私たちを休憩中だけコートに入れ、写真を撮らせてくれた。
テレビの中でしか見たことのない錦織選手を見れたというだけで私は大満足だった。しかし、逆に、あんな有名人と自分が同じ場所にいることが信じられなくて、嘘のように感じた。普段テニスはあまり興味がない私でも錦織選手を応援するのはとても楽しく、28ポンドのタオルを買ってしまうほどだった。
残念ながら錦織選手は負けてしまったが、前回のアウティングと同じ班のメンバーで行動した今回のウィンブルドンは私にとってただ楽しく、心からいい思い出と思えるものとなった。そんな素敵な思い出を作る手助けをしてくれた班のメンバーと警備のおじさんに感謝したいと思う。
(高等部一年 女子)