春

私は春休みのほとんどをイタリアで過ごしました。コロナウイルス による死者の数が世界一にもなったイタリアでは毎日感染者の数が増え続け、外出などの制限が日に日に厳しくなっていました。外に出ると警察が街をウロウロと歩き回っていて、唯一開いているスーパーも入場制限があり、一度に二、三人しか入れませんでした。いつもは世界中の人が訪れる観光地も静まり返っていて、地球から人間がいなくなったのかと思いました。毎日家の中で過ごしとてもストレスが溜まりそうな状況でした。しかし私がその生活を乗り越えられたのは毎日楽しみにしていることがあったからです。夕方の4時ごろになるとみんなが窓を開けて、音楽を流し始めるのです。楽器を弾いたり、イタリアの国旗を振りながら大声で歌ったりしてみんなが一つになって音楽を奏でていました。イタリアの歌なので、聞いたことがなくどのような歌かも全くわかりませんでしたが、みんなが楽しそうに歌っているのを聞くと気分がパッと明るくなりました。演奏が終わると拍手が起こりお互いに励まし合っていました。辛い時だからこそ笑顔でいることがとても大切なのだと改めて気づかされました。

医療従事者の方など多くの方がコロナウイルス を収束させようと努力していますが、今はまだ終わりが全然見えません。しかしいつかは必ず終わると思います。もしコロナウイルスが収まって学校に戻ったらきっと私たちは赤いネクタイをつけて最高学年になります。そして初めて会う新入生がたくさん待っていると思います。新入生の子たちはいつもと違う状況で学校生活を始めなければいけなくて、普段以上に不安だと思います。なかなか学校になれることが出来なくて辛い思いをする子もいると思います。私はその子たちにいいアドバイスなどは出来ないかもしれませんが、少しでも楽しいと思えるように笑顔にできたらいいなと思います。

(高等部3年生 女子)